会則・役員・議事録・投稿

議事録

2018年度(平成30年度)評議員会議事録

 日本神経化学会

2018年度評議員会議事録

日  時:2018 年 9 月 7 日(金)12:15~13:05
会  場:神戸国際会議場 1 階メインホール
出  席:出席 43 名、委任状 77 名(評議員総数 232 名、定足数 46 名)
議  長:和田圭司 理事長
進  行:島田昌一 副理事長
議  題:「評議員の先生方の要望に応える」
 
議事に先立ち、島田昌一副理事長より、本会の議題について以下の通り説明があった。
 
例年の本会では事前に議題を用意しているが、本会では予め評議員より募った要望に基づき、以下の
議題について討議することとした。
 1)若手研究者のプロモーションに関して学会で何ができるか
 2)若手の理事を積極的に起用して、学会の活性化を促進してはどうか
 3)臨床系の学会との関係について(新専門医制度などの影響)

1)若手研究者のプロモーションに関して学会で何ができるか
 島田昌一副理事長が、上記議題を選出した理由について、以下の通りとした。
 国公立大学の定員削減、雇用形態の変更(パーマネントポストから任期付きポストへ)、
 少子化を背
景とする大学の学生定員削減とそれに伴う教員削減等により、近年は若手のプ
 ロモーションが難しくなっている現状について討議したい。

本議題につき、以下の通り議場より意見や提案が挙がった。
 ・‌ポストドクター(博士研究員)が如何にして助教職に就くかが一番の問題である。公式
 に応募を
募る場合もあるが、学会内で募集情報を取得できれば同じ分野の研究者とその就
 職先について、

学会を通しマッチングがし易い。
 ・‌国際学会では既に会員と学会の間での情報マッチングを実施している為、それに倣い本
 学会でも
求人と求職のマッチングが大会会期中にできるような方法を検討してはどうか。
 例えば、ポスターに記しを付す、または、シンポジウムで演者がスライドに求人情報を記
 載する
等。
 ・‌本大会会期中の若手研究者育成セミナーにおいて、求人側は「人(大学院生含む)を探
 していま
す」、求職側は「仕事を探しています」という赤いマークを付け、情報マッチン
 グの企画を試みている。

上記までの意見や提案をもって、島田昌一副理事長が、以下の通りまとめた。

海外では求人募集のマークをつけてプロモーションを実施している学会もあることから、本
学会に
おいても若手研究者育成セミナーだけではなく、本学会全体で求人側と求職側のマッ
チングができるような場を広げるよう検討したい。

2)若手の理事を積極的に起用して、学会の活性化を促進してはどうか
 島田昌一副理事長が、上記議題を選出した理由について、以下の通りとした。
 本学会の理事はベテランが多いが、時代の変化に即したニーズ、或いは本学会として若手
 の育成重
視を掲げていることから、もっと柔軟に若手会員の発想や価値観を本学会運営に
 取り入れるべきではないかという意見について討議したい。

本議題につき、以下の通り議場より意見や提案が挙がった。
 ・‌若手の会員が理事に就任すると、学会運営関連の業務が増え、本来の研究が進まなくな
 る恐れが
ある為、配慮が必要である。だがその反面、理事になると本学会の構造や運営全
 体が見え、それにより人脈が広がり、更に自身の研究の広がりも見えてくることもある 
 為、ぜひ若手の会員には理事を経験してほしい。そして、新しい発想で本理事会を運営し
 ていくことが大事である。
 ・‌現理事会の平均年齢は約 55 歳から 60 歳だが、それを 10 歳位若返らせても本学会の運
 営にはさほ
ど影響はないと考える。なお、シニアの会員は、役員に就くのではなく本学会
 を支援する立場とするのが良い。
 ・‌補充理事を経験したが、特に研究が進まなくなる等の影響はなかった。また、役員活動
 を務める
ことにより、本学会に愛着を更に持つようになり視野も広まった。役員任期中、
 本学会に自分がどの程度貢献できたかということは自分自身では解らないが、在任中の経
 験豊かな理事メンバーからのサポートもあり、業務を遂行することができた。その反面、
 理事メンバー同士でサポートする場合は同じ研究領域同士だと断り難い等の問題がある。
 また、若手の会員には学会業務には興味の無い人も少なくない為、学会運営に携わる役員
 へ若手の会員を勧める際には向き不向きを見極めることが大事である。
 ・‌若手の理事を登用する際には学会業務が過重にならないよう、また自由な発想で将来に
 向けて運
営できる環境を整える必要がある。
 ・‌補充理事を臨床・女性等ダイバーシティーに配慮して特化して決めることが必要であ
 る。
 ・‌理事の年齢を 55 歳位までにし、学会運営全体を若手に託し、シニアは若手をサポート
 するという
様な在り方について時間をかけ構築する。
 ・‌若手で安定したポストに就いていない場合は学会業務が荷重にならない様にする。ま
 た、理事業
務の中でも業務量に差がある為、若手は、業務の少ない理事業務から始め、手
 作りで学会を運営するやりがいを感じてもらいたい。但し、大会長は膨大な雑務に追われ
 ることになるため若手には気の毒で、学会経験の豊かなシニアにお願いした方が良いと思
 う。
 上記までの意見や提案をもって、島田昌一副理事長が、以下の通りまとめた。

 理事の中で指定の定員枠(若手やダイバーシティー)を設ける。またはベテランとなる理
 事の年齢を
引き下げ若手理事のバックアップの役に回ってもらうという意見について、今
 後の理事会ならびに各委員会にて、本学会の将来の方向性として考えていきたい。

3)臨床系の学会との関係について(新専門医制度などの影響)
 島田昌一副理事長が、上記議題を選出した理由について、以下の通りとした。
 本学会が臨床系の教室からの基礎研究発表の受け皿となれないかと考える。また専門医制
 度が新し
くなり、臨床の若手研究者が基礎研究に接する機会が狭められてきている現状に
 鑑み、臨床系学会もその影響を受け、基礎研究関連の演題比率が減少している中で、本学
 会は設立当初から、神経内科・精神科等の学会と繋がりを保ち、その疾患を念頭において
 行っている基礎系学会である為、この点を非常に重要視したい。
 上記を踏まえ、島田昌一副理事長より工藤喬理事が指名され、以下の通り意見を述べた。
 ・‌昨年の評議員会から話題になっているが、本学会は臨床系の先生が設立し、当初は臨床
 系の先生
が多かった。しかし現状では、臨床系の特に若手の先生の発表がない。逆に臨床
 系の学会はどの様な状況かというと、それぞれの学会の専門医を形作る使命がある為、専
 門医教育というプログラムにシフトし、研究発表という場が徐々に狭まってきている。
 日本専門医機構の専門医に対するポリシーでは、「リサーチマインドをもった専門医を育
 てる」と
掲げているが、それを逆手にとり専門医制度に関係のない本学会が積極的にリサ
 ーチマインドの育成という部分に特化して踏み込んでいくことを提案する。その為に必要
 なシステムを作り、臨床系の若手医師が学会参加する様、ブランディング委員会と相談し
 ながらシステムを構築していきたい。まずは、臨床系の若手医師に本学会で発表する場を
 用意したい。
 続いて、島田昌一副理事長より、臨床連携委員会委員長望月秀樹先生が指名され、以下の
 通り意見
を述べた。
 ・‌昨年度より臨床系の会員を増やすべく臨床連携委員会を設置した。しかしながら思って
 いた以上
に若手の医師に本学会へ参加してもらうことは簡単ではない。その理由として、
 新専門医制度により神経内科医や内科医自体がかなり減少している。専門医制度に問題点
 もあると思われるが、本学会から基礎研究に対し専門医制度側へ提言してはどうかと考え
 る。また神経学会にてシンポジウムを設け、2019 年に大阪で開催される日本神経学会学
 術大会で「3 学会プレジデントが語る基礎研究の魅力」というタイトルの元、本学会から
 は和田圭司理事長、日本神経科学学会からは伊佐正理事長、日本神経学会戸田達史理事長
 に基礎研究の魅力を語るよう企画立案をした。これは臨床医が基礎研究へ少しでも興味を
 もつようなプロジェクトとして組んでいる。その他の問題点としては、若手臨床医、特に
 まだ研究を始めたばかりの人が本学会に参加したくなる、興味をもてる魅力的な企画を立
 案してほしい。本学会大会では基礎研究の発表は沢山あるが、少し臨床寄りの若手のため
 のプログラムも検討すべきである。更に、役員にも神経内科医が少ない為、その点につい
 ても今後理事会で検討してほしい。

 上記までの意見や提案をもって、島田昌一副理事長が、以下の通りまとめた。
 臨床系理事を増やすことと併せ、議場で募った意見について、今後各委員会にて検討して
 いきたい。

 更に、島田昌一副理事長より、生物科学連合担当役員の竹居光太郎評議員が指名され、以
 下の通り
意見を述べた。
 生物科学連合の関係として、「1)若手研究者のプロモーションに関して学会で何ができ
 るか」につ
いては、実際に同連合の中でもポストドクター(博士研究員)の問題点が毎回
 提起されており、同連合としても文科省等に対し問題意識をもつよう働きかけている状況
 である。本学会内においても継続して議論していくべきであり、既存意見の通り求人側と
 求職側の情報を学会のホームページへ掲示、または学会会期中に交流の場を設ける等積極
 的に携わるべきである。

 最後に、本日の議題について和田圭司理事長が、以下の通りまとめた。

 1)若手研究者のプロモーションに関して学会で何ができるか
 学会が求人側と求職側のマッチングの場を提供することは非常に重要な案件である。各
 教室からの
求人情報は学会ホームページに掲載しているが、求職側からアナウンスをする
 ということはしていない。今後はマッチングに関し出版・広報委員長を中心に、同委員
 会で検討してほしい。

 2)若手の理事を積極的に起用して、学会の活性化を促進してはどうか様々な意見の通り
 人材には向き、不向きがあるため、そこを見極めていくことが重要である。また、
 補充理事についてはどの様な方針で登用していくか、補充理事の性格付、位置付を明確に
 しておく
必要がある。また、本学会の発展を考えた上で学会自体が多様性を有することは
 非常に大切なことである。その為、若手や男女等幅広く人材を育てることが重要である。
 なお人材を育てるという意味では委員会活動が重要な場になっている。委員長が交代して
 も委員会の方向性を引き継ぎ、人材を育てるということを徹底していきたい。

 3)臨床系の学会との関係について(新専門医制度などの影響)
 本学会で考えるだけでなく、臨床系学会にもリサーチマインドをもっている人材を評価す
 る仕組み
作りを考えて頂く必要がある。どの様な仕組みが良いか意見を伺いながら検討し
 ていきたい。

 島田昌一副理事長より、これまでの意見ならびに提案に対し謝辞が述べられた。また、今
 後も引き
続き、本議題につき意見がある際には各委員会や理事会へ申し出るよう議場へ呼
 び掛け、学会としても本議題については継続的に検討していきたいとした。

以上をもって、2018 年度評議員会は閉会となった。