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議事録

2016年度(平成28年度)評議員会議事録
日本神経化学会
2016年度評議員会議事録

日  時:2016年9月9日(金)12:20 ~ 13:00
会  場:福岡国際会議場 国際会議室 
出  席:出席 54名,委任状 98名(評議員総数267名,定足数54名)
議  長:今泉 和則 理事長
進  行:白尾 智明 副理事長
議  題:大会における使用言語に対する学会としての対応について

議事に先立ち,白尾智明副理事長より,本議題の経緯について,以下の通り説明があった。

 本議題については長きにわたり議論を重ねてきており,現在は大会長へ一任としている。しかしながら,昨年の第58回大会長を経験した観点からその現状を考察すると,大会における使用言語を大会長へ一任するというのは,大会長の特色が出し易いというメリットと,本学会のミッションに果たしてきちんと沿っているのだろうかという不安感が否めないというデメリットがあった。従って,本会では,本議題について現状通り大会長一任で良いのか,または本学会の方向性がある方が良いのか,再度議場より多くの意見を募り,それら意見を理事会で精査し,今後の大会に活かしたいとする。

また上記に続き,本議題の論点について,以下の通りスライドで示した。
  1. 学会としての一貫性があった方が,参加者にとっては出席の計画が立てやすい
  2. その年,場所,大会長によって変わったほうが,マンネリ化せずに良い
  3. 本学会は深いディスカッションをするために日本語で行い,国際的に活躍できるようになるための英語での発表に慣れるような機会としては他の学会を利用すればよい
  4. 本学会として単独で,深いディスカッションと国際化に向けた取り組みをした方がよい
  5. その他
上記を踏まえ,議場へ意見を募ったところ,道川理事より,以下の通り発言があった。

 本学会として国際化に向けた取り組みとして,現在本学会の会員数減少についても懸念がある点に鑑み,今後は積極的に海外からの入会者を募り大会へ参加可能となるよう,将来的には本学会の大会使用言語は英語をメインとすることを検討した方が良い。

引き続き,野田百美ダイバーシティー推進委員長より,以下の通り発言があった。

 ダイバーシティー推進委員会からの意見として,昨今アジアからの留学生が多い為,  大会使用言語を全て英語とせずとも留学生が参加できるように,発表スライドやポスターは英語表記とする等,英語を取り入れることを考慮して欲しい。

上記までの意見に,英語の使用についての発言が続いた為,白尾智明副理事長より,   久永眞市国際対応委員長が指名され,以下の通り意見を述べた。

 今後も留学生は増加すると思われる為,彼らが参加し易い大会とすることは大事である。また,日本語がメインとなると,毎大会開催しているISN/JSNジョイントシンポジウムの海外シンポジストが他のシンポジウムに参加できず残念である為,少なくとも一部は英語とした方が良い。更にAPSNがあるが,本学会はアジアのNeurochemistryを牽引する学会としても,英語を取り入れるべきであると考える。
 なお,学生は,最初の大会発表から繰り返し英語で準備させると,英語への抵抗もなくなるように見受けられる為,大会使用言語を英語としても,大きな問題にならないのではと思慮する。

続いて,白尾智明副理事長より,APSN理事長を務める和中明生理事が指名され,以下の通り意見を述べた。

 留学生を考慮するという観点からポスター発表は英語とするも,討議という観点からは日本人同士で英語を用いると不自然なところも多々見受けられる為,討議については日本語メインとしより深く議論を尽くせるようにすべきである。

なお,和中明生理事からは,本議題とは関係ないとした上で,若手の英語での発表質疑応答等のスキルを磨く際には,会費のクレジット決済が可能となったAPSNへ入会し,APSN大会へ積極的に参加する等の提案があった。

更に,ISN財務担当理事を務める池中一裕評議員が指名され,以下の通り意見を述べた。

 留学生の大会参加は非常に大事である。その為,ポスター,オーラルともに発表は英語とし,討議は日本語するというのが良いかと考える。なお,本大会は他学会との合同開催となった為,相手学会の意向もあり諸々の企画において難しいところがあったと思うが,若手道場の一部,また各シンポジウム割りの並列に英語枠を設ける等の工夫があってもよかった。

上記まで,留学生の参加に配慮する意見が多い点を踏まえ,白尾智明副理事長より,日本語をメインとした今大会長である和田圭司理事が指名され,以下の通り述べた。

 まず本学会での使用言語を日本語とした第1の理由は,従来通りの大会ではなく,敢えて極端に日本語をメインとした大会としたらどうなるか,という実験的な目的もあった。
 また,第2の理由としては,本大会が日本生物学的精神医学会との合同大会となった為,相手学会の「徹底して議論を尽くしたい」という要望に応じ,相手学会と分断せず全ての場で議論が尽くせるよう日本語とした経緯がある。
 そこで,本大会を,大会使用言語を日本語メインとした大会のモデルとし,今後の本学会大会の特色,並びに,使用言語について議論する際の参考となれば良いと考える。
 
今泉和則理事長より,以下の通り発議があった。

 本議題については長年議論し続けているが,以前に将来計画委員会より「本学会の特色である『議論を尽くす』という観点から,大会言語を英語メインとしないでほしい」旨の答申があった。しかしながら,確かに時代の流れとともに留学生が増えている実情に目を瞑ることはできず,その反面合同大会となる場合は相手学会が日本語を希望する場合はその意向を尊重しなければならないという問題もある為,少なくとも単独大会の時には,発表は英語,討議は日本語・英語より選択できるとするのが良いと考える。

なお,今泉和則理事長から,本会の意見をとりまとめたのち,理事会で協議をし,大会使用言語を含めた将来的な本学会大会の方向性を示したいとした。

上記を受け,引き続き意見を集めるべく,白尾智明副理事長より,学会運営面からの視点として島田昌一庶務担当理事が指名され,以下の通り意見を述べた。

 英語,日本語いずれの言語をメインとする場合でも,それぞれ理が適っている。その為,各大会において企画,発表,討議等どこかに,それぞれの言語を工夫して盛り込むことを検討することが望ましい。

続いて,馬場広子会計担当理事が指名され,以下の通り意見を述べた。

 学会運営側とすると,本学会が少しでも増収となるべく留学生や海外からの参加者がより多い方がよいと考える。しかし,合同学会となる場合,また本学会の『議論を尽くす』という特色を活かすのであれば,今まで様々出ている意見の通り,英語,日本語をそれぞれどこかで取り込む折衷案が妥当である。

若手からの意見として,今泉和則理事長より,板東良雄評議員が指名され,以下の通り述べた。

 英語での口頭発表となると,中堅や若手からの質問が少ない傾向にあると思われる。また,英語での討議が不十分であったため,セッション終了後に改めて日本語で質疑応答しなおしている場面も散見されたので,議論を重視するのであれば討議だけでも日本語の方が良いのではないかと考える。

引き続き若手からの意見として,今泉和則理事長より,田村英紀評議員が指名され,以下の通り述べた。

 今までの発言によると,大よその先生方は日本語,英語を取り入れた折衷案を考えていると思われる為,最終的には各大会においてその時のニーズに合った使用言語の取り扱いをするのが相応しいのではないかと考える。但し,ポスター発表については論文が英語であるため英語で良い。

なお,上記意見よりポスター表記について,白尾智明副理事長より,英語でのポスター発表については日本語のタイトル或いはキーワードがあるだけでも見易い,という意見が過去にあった旨紹介があった。

白尾智明副理事長より,臨床系学会の大会長を経験されているとし,西川徹評議員が指名され,以下の通り提案した。

 臨床,基礎とは括りは関係なく,まだ現段階では大会のスタイルを固定するのではなく,本大会のようにいろいろな大会モデルを開催し,前年大会を省み翌年にはそれを改善することを繰り返しながら,徐々にスタイルを確立するのが良い。

他学会大会での使用言語の対応について意見を伺うとし,白尾智明副理事長より,薬学系学会についてとして佐藤薫研究助成選考委員長が指名され,以下の通り述べた。

 日本薬理学会ではシンポジウムは英語と記憶している。なお,海外から著名な先生方を招聘する際には,発表が日本語の場合は抄録を英語とする等の配慮があると良い。また,討議においては,議論の筋道をたてるのには得意な言語の方が,より深く討議できると考える。

引き続き,日本分子生物学会についてとして,大隅典子評議員が指名され,以下の通り述べた。

 日本分子生物学会では会員数が多い為,徐々に英語化している。学会規模によってもその扱いは様々である。

更に,日本解剖学会についてとして,仲嶋一範利益相反委員長が指名され,以下の通り述べた。
 
 日本解剖学会では,参加者にはコメディカル,または医史学,人類学等異なったフィールドの参加者も多い為,その英語表記の幅も広く,英語をメインとすることは難しいので本学会と一概に比較は出来ないと考える。本学会としては,本会でのここまでの意見から,スライドとポスターは英語,抄録は日本語とし,発表や討議については演題募集時に希望の言語を登録する,更に各討議の際には座長が英語圏参加者からの質疑も促す等の対応策が考えられる。

白尾智明副理事長より,本大会オリジナル企画である若手道場について,議場へ意見を求め,今泉和則理事長が以下の通り,発議した。

 若手道場にて座長を務めたが,留学生は残念ながら参加していなかった模様ではあるが,道場自体は大変に盛況で,使用言語は日本語であったが,発表者はよく準備しており,討議もとても充実している内容であった。

また,木山博資連合大会委員長より,以下の通り発議があった。

 若手道場の座長も務め,いくつかのセッションの様子も見たが,朝のセッションのみ人が少なかったが,どのセッションも議論が尽くされていて,大変良かった。
 本議題については,今後も単独大会開催となるとは限らず,様々な形の合同学会を開催する可能性があることから,また,大会長を務める先生は長年本学会で活動され本学会のことを熟知されていると思われる為,例えばポスターは英語とする等と一定のルールを決め,大会全体の言語の取り扱いについては大会長に一任するという案が相応しい。もちろん,本大会の様にいろいろなモデルケースを提示する大会が今後もあって良い。

白尾智明副理事長より,これまでの意見及び提案に対し謝辞が述べられた。また,今後も引き続き,本議題につき意見がある際には各委員会や理事会へ申し出て,学会として継続的に検討していきたいと述べた。

以上をもって,2016年度評議員会は閉会となった。