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一般、大学院生、若手研究者(ポスター)
イオンチャンネル、興奮膜、受容体、輸送体、神経伝達物質、修飾物質
P-007(2)
IL-1β enhances H2S-induced Ca2+ responses and 5-HT release in RIN14B cells
氏家 絢子,山口 聡一郎,伊藤 茂男,乙黒 兼一
北大・獣医・薬理

Hydrogen sulfide(H2S)modulates many cellular functions as a gasotransmitter through a variety of ion channels. We have previously reported that H2S causes bidirectional effects on Ca2+ signals in RIN14B cells(a rat pancreatic δ cell line), i.e., inhibition of spontaneous Ca2+ oscillation via opening ATP-sensitive K+ channels and Ca2+ increase via opening transient receptor potential(TRP)A1 channels. In the present study, we examined the effect of pro-inflammatory cytokines on H2S-induced Ca2+ responses and 5-HT release in RIN14B cells. RIN14B cells were treated with IL-1β(1-10 ng/ml, 24 hr)and intracellular Ca2+ concentration([Ca2+]i)was measured using Ca2+ imaging system with fura-2. Na2S(100 μM), an H2S donor, caused the inhibition and increase of[Ca2+]i in 50% and 17% of non-treated cells, respectively. Treatment of IL-1β(3 ng/ml)reduced the percentage of cells showing inhibitory effect(12%)and enhanced the[Ca2+]i increase(60%). Na2S also caused 5-HT releases, which were enhanced by IL-1β. HC030031(30 μM), a TRPA1 antagonist, inhibited H2S-induced[Ca2+]i increases in both non-treated and IL-1β treated cells. The IL-1β-enhanced[Ca2+]i increases were also abolished by diltiazem(50 μM), a voltage-dependent L-type Ca2+ channel blocker. These results suggest that H2S-evoled cellular functions are enhanced under inflammatory conditions. IL-1β may modulate the activity of L-type Ca2+ channels.
P-008(2)
Tubbyファミリー遺伝子がGタンパク共役型受容体の一次繊毛局在に寄与する様式の解析
韓 薩日娜1,三好 耕1,2,鹿田 星1,天野 元揮1,佐藤 大樹1,高村 明孝1,2,松崎 伸介3,片山 泰一1
1大阪大院・連合小児発達・分子生物遺伝学,2大阪大院・連合小児発達・子どものこころ,3和歌山県立医大・薬理学

脊椎動物の一次繊毛は、細胞外のシグナルをセンサーとして受容し細胞内へ伝達すると言われている。数多く細胞外の神経伝達物質やホルモンを受容してそのシグナルを細胞内に伝えるGタンパク質共役型受容体が一次繊毛に局在することが報告されている。満腹シグナルを伝達する繊毛受容体ニューロペプチドY2型受容体を発現するニューロ限定で一次繊毛が形成されない変異マウスが過食を示す。一次繊毛を介したシグナル伝達の異常は、肥満、網膜変性などの繊毛性疾患を惹起する。tubbyマウスも肥満、網膜変性、聴覚消失によって特徴づけられる。Tubbyマウスの原因遺伝子であるtubはtubby-like proteinの創設メンバーで、Tubとtubby-like protein(tulp1からtulp4)はカルボキシ末端側にtubドメインがある。ヒトのtupl1での変異が網膜変性の原因で、Tub,tulp2,tulp3のアミノ末端側に鞭毛内輸送複合体Aに結合するドメインがあり、TubbyマウスではGタンパク質共役型受容体であるソマトスタチン3型受容体、メラニン凝集ホルモン1型受容体がニューロンの一次繊毛に局在しなくなる。tubbyファミリー遺伝子がGタンパク共役型受容体の一次繊毛局在に寄与する様式がまだわかっていない。そこで本研究では、CRISPR/Cas9システムを用いてtubbyファミリー遺伝子の両方のアレルにフレームシフトを起こすhTERT-RPE1細胞株を作製し、これらの変異細胞株における一次繊毛に特異的に局在するGタンパク共役型受容体の繊毛局在を観察した。
P-009(2)
1次繊毛におけるGタンパク質共役型受容体との相互作用因子の探索
鹿田 星1,韓 薩日娜1,天野 元揮1,佐藤 大樹1,高村 明孝1,2,松崎 伸介3,三好 耕1,2
1大阪大院・連合小児発達・分子生物遺伝学,2大阪大院・連合小児発達・子どものこころ,3和歌山県立医大・薬理学

脊椎動物において脳のほとんどの神経細胞表面には1次繊毛と呼ばれる突起状の細胞小器官が存在する。近年、1次繊毛は非シナプス性のシグナル伝達機能を担う「ハブ」としての役割を持つとして研究されており、ヒトの発達時における神経成長に関与し、1次繊毛の障害によって知的障害や発達障害などを伴う繊毛疾患(Ciliopathy)が誘発されることが知られている。1次繊毛には特徴的なシグナル伝達因子として複数のGタンパク質共役型受容体(GPCR)が存在し、それらの多くが種々の神経機能に重要であることが明らかとなっている。GPCRの中でもセロトニン6型受容体(5HTR6)やソマトスタチン3型受容体(SSTR3)は1次繊毛に局在し、成人においても学習や記憶への関与が示唆されている。一方でこれらと相同性の高いセロトニン7型受容体(5HTR7)やソマトスタチン5型受容体(SSTR5)は1次繊毛に局在しないことから、1次繊毛へのGPCRの局在は各GPCRを選別する他の因子による制御を受けている可能性が考えられる。そこで本研究では1次繊毛中におけるGPCRの局在制御因子を同定することを目的に、GFP融合型GPCRを発現する培養細胞系を用い、GST融合型抗GFP抗体によるPull-down Assayによって、GST-5HTR7やSSTR5には結合せず、GST-5HTR6やSSTR3に特異的に結合する因子の探索を試みた。
P-010(2)
前帯状皮質GABAシステム制御機構における脂肪酸結合タンパク質の役割
山本 由似1,福永 浩司2,大和田 祐二3
1東北医科大・医・解剖,2東北大学・薬・薬理,3東北大学・医・器官解剖

【目的】脂肪酸の細胞内キャリアーである脂肪酸結合蛋白質3(FABP3)は、中枢神経系では神経細胞のみに発現している。我々はFABP3が、辺縁系に属する前帯状皮質(ACC)の神経細胞に高発現していることを報告した。またFABP3遺伝子欠損(KO)マウスの、ACC神経の可塑性低下及び認知・情動行動異常を見出した。本研究では、FABP3のACCでの機能的役割を明らかにするため、FABP3の詳細な分布及び可塑性制御への関与を検証した。
【方法】野生型マウスを用いて、FABP3のACCでの発現を、Neurogranin(NRGN)(興奮性神経)またはParvalbumin(PV)(抑制性神経)との二重染色から詳細に検討した。ACCの透析液から、グルタミン酸及びGABAの細胞外濃度をマイクロダイアリシス法にて測定した。ACCのパンチアウトサンプルから、シナプス関連タンパク質の発現をウェスタンブロット法及びリアルタイムPCR法にて定量解析した。
【結果】FABP3は、ACCのPV陽性抑制性神経に強く発現し、NRGN陽性興奮性錐体細胞にはほとんど発現していなかった。FABP3 KOマウスではGABAが顕著に増加し、グルタミン酸は有意に減少していた。GABA合成酵素のGAD67の発現が、FABP3 KOマウスで顕著に増加していた。ホールセルパッチクランプ法を用いてACC第2・3層の錐体細胞への興奮性入力と抑制性入力をそれぞれ測定した。KOマウスでは抑制性入力の有意な増加が検出されたが、興奮性入力には変化が無かった。GAD67遺伝子発現に関与するプロモーター領域への転写抑制因子の結合及びメチル化状態を解析した。FABP3 KOマウスACCでは、GAD67プロモーター領域への転写抑制因子結合が減少していること、プロモーター領域が低メチル化状態にあることを確認した。
【結語】FABP3は、ACCの抑制性介在ニューロンにおいて、GAD67遺伝子の発現制御に関わっていることが明らかとなった。FABP3の欠損は、ACCの興奮/抑制バランスを破綻させ、大脳辺縁系の各領域の協調が破たんし、認知・情動行動に異常を引き起こしたと考えられる。
P-011(2)
日本人大うつ病性障害患者に対するミルタザピンの治療反応予測
香月 あすか1,堀 輝1,阿竹 聖和1,小西 勇輝1,井形 亮平1,中村 純2,吉村 玲児1
1産業医科大学医学部精神医学,2北九州古賀病院

目的:ミルタザピン(MIR)はノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬に分類される。本研究目的は1)MIR投与による血清BDNF濃度および血漿カテコラミン(MHPG、HVA)濃度への影響、2)BDNF Val/Met遺伝子多型とMIRへの治療反応性の検討である。対象と方法:DSM-IV-TR基準により大うつ病性障害と診断され、ハミルトンうつ病評価尺度(HAMD)にて15点以上の84名を対象とした。対象者に対しMIRT単剤の4週間治療を行った。HAMDが4週間後までに50%以上改善した者を反応群と定義し、50%未満の者を非反応群と定義した。血清BDNF濃度、血漿MHPG濃度、血漿HVA濃度をミルタザピン開始前、4週後に、BDNFはELISA法、MHPG,HVAはHPLC-ECD法により測定し、BDNF Val/Met多型は関連領域をダイレクトシーケンスした。本研究は産業医科大学の倫理委員会の承認を受けており、患者からは文書による同意を得た。結果:1)84名中64名は4週間以上の投与を継続できた。有害事象により20名(24%)が4週間以内に脱落した。84名中36名はMIRによる4週間の治療に反応した(43%)。2)4週間のMIR治療により、血清BDNF濃度は非反応群では有意な増加を認めなかったが、反応群では有意な増加を認めた。MIR投与前の血清BDNF濃度は非反応群に比べ反応群では有意に低かった。3)カテコラミン代謝産物濃度は、反応群、非反応群、ともにMIRの影響はなかった。MIR投与前のカテコラミン代謝産物濃度は非反応群と反応群で有意な差は見られなかった。4)BDNF Val/Val群とBDNF Met carrier群との間で反応率に有意差はなかった。結論:MIRの血清BDNF増加作用は投与4週目には認めた。また、投与前の血清BDNF濃度がMIR反応性の指標となる可能性がある。Val/Met遺伝子多型はMIRの反応性との関連はない。
P-012(2)
Mild hypothermia-mediated neuroprotection for oxygen-glucose deprivation in the mouse hippocampus
川村 将仁
慈恵医大・薬理

The therapeutic hypothermia for acute stroke might play an important role in neuroprotection. However, the key mechanism of this therapy is still undetermined. It has been reported that hippocampal neurons express various types of adenosine receptors, and activation of adenosine A1 receptors is well known to modulate neuronal activity in the hippocampus. We hypothesize that hypothermia enhances ATP/adenosine-mediated neuroprotection against ischemia. To elucidate this hypothesis, we recorded filed EPSPs from stratum radiatum of area CA1 in the acute hippocampal slices of adult mice and oxygen-glucose deprivation(OGD;the model of ischemia in vitro)was exposed while changing temperatures. Hypothermia(28℃ or 32℃)caused the recovery of fEPSPs from OGD-induced irreversible loss of synaptic activity in hippocampal brain slices from mice. Adenosine A1 receptor antagonist, DPCPX prevented the recovery of irreversible loss only at 32℃ but not at 28℃. These results suggest that mild hypothermia(32℃)has protective effect on ischemia-induced loss of synaptic activity through activation of adenosine A1 receptors. This study might reveal the involvement of adenosine in the therapeutic hypothermia(usually done at 32-33℃)for acute stroke.