日本神経化学会事務局



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会員の皆様へ

 

理事長挨拶

 この度、小泉修一先生の後任として、新しく日本神経化学会の理事長に就任しました慶應義塾大学医学部・生理学教室の岡野 栄之でございます。恩師の塚田裕三先生が創立に関わった学会の理事長に就任しましたことは、とても嬉しく、光栄であるとともに、身も引き締まる思いであります。本学会は、1957年に創立され、これまで見識・決断力・実行力を併せ持った素晴らしい歴代の理事長の強いリーダーシップの下、独自のポリシーのもと発展して来ました。この60年以上の歴史の中で、本学会は、規模こそ大きくありませんが、物質と疾患を重要な対象領域として、基礎と臨床の緊密な連携をモットーにしたユニークな学会です。研究面では、神経系において重要な役割を果たす受容体の発見とその機能の解析、神経系の発生・分化や可塑性・高次機能において重要な役割を果たす分子の発見、家族性に発症する神経疾患の原因遺伝子の同定、精神・神経疾患の病態におけるグリア細胞の役割の解析など、世界をリードする業績を上げて来ました。また、若手の育成にも力を入れ、世界に名を轟かせる著名な研究者を数多く輩出して来た実績のある本当に素晴らしい学会であります。一方、会員数の減少と会員の年齢分布の高齢化など、日本全体が抱えるものと共通した問題点と脆弱性を抱えています。今こそ、会員が一丸となってこの危機的な状況を打開していくことが肝要であると思っております。

  しかし、ピンチはチャンスと考えるべきです。先日、脳研究推進委員会の委員長だよりでも、書かさせていただきましたが、神経化学こそが、先端神経科学と最新脳神経医学の接点であり、あらゆる脳科学のブレークスルーの中核に位置すべき学問分野であります。現在ほど、神経化学に基づき、精神・神経疾患の病態を解明し、根本治療戦略創出に貢献できる時代はなかったといえるのではないでしょうか? 本学会が、物質と疾患にフォーカスしている点は、本学会がトランスレーショナル・リサーチや分子の機能に基づいた創薬など、現在非常に注目を集める研究領域でリーダーシップ的な役割を担って行くための絶好の機会になると思います。このコロナ禍という世界的な大きな危機の中、この学会が発展して行くためには、何をすべきかを皆様とともに考えて行きたいと思います。

 現在、生命科学全般に共通していることですが、次世代シーケンス技術、ゲノム編集、オルガノイド技術、AI・データサイエンスなどの新しい技術の台頭とともに、神経研究は、より深化が進んで来ており、益々多くの叡智を結集する必要が出て来ております。そして本学会は、60年以上の歴史に立脚し、これまで以上に日本の神経研究を牽引し、我が国が、世界から尊敬される立場になる様にして行かなければなければならないと思います。その為にも、同じ志を有する皆さまと力を合わせ、これを実現して行く所存であります。

 皆さま、ご指導・ご鞭撻のほど、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

2021年3月26日
慶應義塾大学医学部・生理学教室
岡野 栄之