TOPシンポジウム(Symposium)
 
Symposium
ELSI for Social Implementation of Neurotechnology
シンポジウム
ニューロテクノロジーを社会へ実装するためのELSI
7月25日(木)14:40~16:40 第7会場(朱鷺メッセ 2F 201B)
1S07a
ELSI for Social Implementation of Neurotechnology
Manabu Honda(本田 学)1,Hisamichi Okamura(岡村 久道)2,Eisuke Nakazawa(中澤 栄輔)3,Koji Morikawa(森川 幸治)4,Junichi Ushiba(牛場 潤一)5,Runa Koike(小池 瑠奈)6
1日本神経科学学会産学連携推進委員会
2弁護士法人 英知法律事務所
3東京大学大学院医学系研究科
4パナソニック株式会社 テクノロジーイノベーション本部
5慶應義塾大学理工学部生命情報学科
6TTデータ経営研究所

脳情報解読技術、人工知能、超高速大容量通信、ビッグデータなどの融合を背景に、急速に発達しつつあるニューロテクノロジーは、人間の脳の生物学的限界を超えた情報処理を可能にし、大きな可能性と展望を切り拓きつつある。一方で、こうした新しい科学技術の花形が登場するときには、そのインパクトが大きければ大きいほど、反作用としての警戒心が社会に芽生えることも多く、それらが感情的で非合理的な反応を引き起こすことも多々ある。こうした反応を乱暴に無視するのではなく、新たに登場した科学技術の有効性と安全性とを丁寧に説明しつつ、社会の理解と合意を醸成していくことは、健全に研究開発を発展させていく上で欠かせない。特に、新しく登場した科学技術が何らかの負の側面を持つ可能性を示した場合、因果関係が不明瞭であることを盾にそれらを無視することは、後々に大きな問題を生むリスクを伴う。このことは、公害を含むこれまでのさまざまな環境問題への対応が、多大な犠牲を払いつつ私たちに教えてくれた貴重な教訓でもある。問題を指摘されたことに対して、徒に怯え、避け、目を瞑るのではなく、その影響の有無を真摯に検討し、影響があると判断される場合には原因を解明するとともに、妥当性の高い解決策を提示することは、研究開発に当たる者の責務と言える。
そこで今年度の産学連携シンポジウムでは、新しく登場したニューロテクノロジーを将来にわたって安全·安心かつ健やかに育んでいくために、倫理的·法的課題に、工学系研究の状況を踏まえた社会的視点を交えたELSI(Ethical, legal and social implications; 倫理的·法的·社会的課題)をテーマに取り上げて議論することとした。科学者と倫理·法律の専門家を交えた議論の場は貴重であり、ELSIの初学者から実践的研究開発に携わる方まで、多くの方の参加を歓迎する 。