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一般口演
炎症・免疫2
7月7日(金) 13:50-14:05 ポスター会場①
2P⑤-3
視神経脊髄炎(NMO)患者由来IgGによりNMOモデルラットに生じる中枢神経病変の比較検討
Comparison of CNS lesions induced by NMO-patient-derived IgG in hAQP4 rat NMO model

生田目 知尋, 三須 建郎, 高井 良樹, 松本 勇貴, 青木 正志
東北大学 神経内科
Chihiro Namatame, Tatsuro Misu, Yoshiki Takai, Matsumoto Yuki, Masashi Aoki
Dept. of Neurology, Tohoku University School of Medicine, Sendai, Japan

【目的】従来のNMO患者由来IgGを用いたNMOラットモデルはアストロサイト障害が軽度であり、原因として患者由来IgGの齧歯類AQP4に対する親和性が低いことを指摘されていた。本研究はヒト化AQP4を発現する動物モデルで患者由来IgGによるヒト患者病理を再現し、病変を患者間で比較することを目的に行った。【方法】遺伝子編集によりAQP4をヒト化したLewis rat (hAQP4 rat)を実験に用いた。NMO患者由来IgGは6名の抗AQP4抗体陽性NMOスペクトラム障害患者の急性期血漿より精製し、抗体価を測定した。週齢8~10の雌のhAQP4 rat 42匹にmyelin basic proteinを用いて実験的自己免疫性脳脊髄炎を誘導し、麻痺または体重減少が出現した時点で患者由来IgG またはcontrol-IgGを腹腔内投与した。IgG投与2日後の脳・脊髄・視神経について病理組織学的検討を行い、脊髄切片におけるAQP4脱落面積の比率と、中枢神経系のAQP4脱落病変の分布を患者毎に比較した。【結果】全ての患者由来IgG投与群で中枢神経系にAQP4脱落病変を認めた。AQP4脱落部位にはGFAPの脱落・C5b-9の沈着・多核球の浸潤がみられた一方、脱髄や神経軸索障害は軽度であった。また、病変部にcitH3強陽性細胞、citH3及びMPOの組織沈着を認めた。患者由来IgGの抗体価が高いほど、脊髄切片におけるAQP4脱落病変の面積比率は高かった。AQP4脱落病変は大脳、延髄、脊髄に高頻度に認められ、臨床的に病変分布の異なる患者由来IgGの投与によっても分布は同様であった。【結論】NMO患者由来IgGにより患者急性期病理類似の病変が再現され、細胞外トラップが病変形成に関わる可能性が示唆された。抗AQP4抗体価はアストロサイト障害病変の拡大に寄与する可能性がある。