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一般ポスター
ブレインバンク2
7月6日(木) 13:20-13:35 ポスター会場②
1P⑫-1
美原記念病院ブレインバンクからの年次報告(2022年度)
Annual reports from Mihara Memorial Hospital Brain Bank (FY 2022)

田野 光敏1, 中村 美有希1, 井上 拓也1, 諏訪部 桂1, 高橋 陽子1, 美原 盤1, 美原 恵里2, 美原 樹1, 高尾 昌樹1,3
1. 脳血管研究所 美原記念病院, 2. 脳血管研究所 介護老人保健施設 アルボース, 3. 国立精神・神経医療研究センター病院 臨床検査部
Mitsutoshi Tano1, Miyuki Nakamura1, Takuya Inoue1, Katsura Suwabe1, Youko Takahashi1, Ban Mihara1, Eri Mihara2, Tatsuru Mihara1, Masaki Takao1,3
1. Institute of Brain and Blood Vessels Mihara Memorial Hospital

【当施設の取り組みについて】当施設は2007年にブレインバンクを設置、解剖、その後の組織診断が行える体制を確立し、症例を蓄積してきた。右脳と脊髄の一部、必要に応じて一般組織を-80℃で保管し、分子生物学的解析、研究のために保存している。また、他施設からの解剖依頼や標本作製、病理診断依頼も受け入れる体制を整備した。特に、解剖に関しては、感染の危険性から剖検が行われないプリオン病や解剖設備のない療養病院や老人ホームにおいて事前同意されている症例については各施設と連絡をとり、当院に搬送して対応している。【実績】当施設の2022年2月末の現状を報告する。2022年度は12月末時点で、プリオン病9例、超百寿者2例の計11例を登録。解剖依頼は7症例、標本作製・診断依頼は4件、試料の提供に関しては29例であった。現在、325例の凍結試料を有しており、最も多い疾患はプリオン病で87例。本疾患に関しては、臨床診断、入院受け入れ、剖検、組織診断まで対応をしている。次に多いのは筋萎縮性側索硬化症の42例。続いて脳梗塞27例、脳出血24例、アルツハイマー型認知症22例、レビー小体型認知症16例、神経原線維変化型認知症15例、パーキンソン病12例、多系統萎縮10例、脊髄小脳変性症6例、進行性核上麻痺6例、大脳皮質基底核変性症3例、その他の神経変性疾患5例、110歳以上の超百寿者23例、その他の症例が27例である。当施設の活動が関係者に知られるようになり、患者本人や各施設から多くの問い合わせをいただき、解剖に至るケースが多くなってきている。今後、これら貴重な機会を失することが無いように各施設と連携をとり、解剖依頼に対応していきたい。
7月6日(木) 13:20-13:35 ポスター会場②
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水俣病の病理標本の永久保存を目指す国立水俣病総合研究センターの取り組み
National Minamata Disease Research Center's Efforts to Permanently Preserve Pathological Specimens of Minamata Disease

丸本 倍美1, 植木 信子2, 八木 朋子3, 藤村 成剛1, 中村 政明1, 菰原 義弘4, 新井 信隆5
1. 国立水俣病総合研究センター, 2. 株式会社神経病理Kiasma&Consulting ウェブアーキテクトラボ, 3. 株式会社神経病理Kiasma&Consulting メディカルデザインラボ, 4. 熊本大学大学院生命科学研究部 総合医薬科学部門 代謝・循環医学分野 細胞病理学講座, 5. 株式会社神経病理Kiasma&Consulting ニューロパソロジーセンター
Masumi Marumoto1, Nobuko Ueki2, Tomoko Yagi3, Masatake Fujimura1, Masaaki Nakamura1, Yoshihiro Komohara4, Nobutaka Arai5
1. National Institute for Minamata Disease, 2. Web Architect Lab, Neuropathology Kiasma&Consulting Inc., 3. Medical Design Lab, Neuropathology Kiasma&Consulting Inc., 4. Department of Cell Pathology, Graduate School of Medical Sciences, Faculty of Life Sciences, Kumamoto University, 5. Neuropathology Center, Neuropathology Kiasma&Consulting Inc.

国立水俣病総合研究センターでは、水俣病に関する貴重な試料を永久保存する目的で1996年にリサーチリソースバンク棟を建設し、同施設において貴重な病理標本の収集および保管作業を継続的に実施している。水俣病に関する病理標本および資料を整理・保管することは当センターの責務の一つであり、また、当センターは、単一疾患の病理標本が多数保存されている世界的にも例を見ない施設となっている。現在当センターが行っている主な取り組みは、病理標本の永久保管に向けた作業、標本を利用した教材作成および将来の学術利用のための作業である。病理標本を永久保管するため、病理組織標本の修復・洗浄作業を実施した後に、組織標本をバーチャルスライド機器にてデジタル化を行い、組織標本をアナログおよびデジタルの両者で保管している。教材作成としては、デジタル化した組織標本を世界中の研究者および学生が教育資料として利用できるようにするためのウェブサイトの作成を行っている。また、将来の学術利用のため、パラフィンブロックの再包埋・ラベリング作業を実施し、研究に再利用できる試料として整理・保管を行っている。本発表では、これらの取り組みについて紹介する。
7月6日(木) 13:20-13:35 ポスター会場②
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福祉村Brain Bank 2022年報告
Fukushimura Brain Bank 2022 report

小川 倫弘1, 兼坂 岳志1, 金田 大太1, 赤津 裕康1,2, 菱田 知恵1, 山本 孝之1, 橋詰 良夫1
1. (医)さわらび会福祉村病院 神経病理研究所, 2. 名古屋市立大学 大学院医学研究科
Norihiro Ogawa1, Takeshi Kanesaka1, Daita Kaneda1, Hiroyasu Akatsu1,2, Chie Hishida1, Takayuki Yamamoto1, Yoshio Hashizume1
1. Institute of Neuropathology, Fukushimura Hospital, 2. Graduate school of Medical Sciences and Medical School, Nagoya City Univ.

【背景】1982年に開設された福祉村病院は認知症および脳血管障害のリハビリに力を入れている。入院患者のほぼ4割がアルツハイマー病(AD)患者で、年間退院患者のほぼ半数が死亡退院している。病理解剖は1990年より行っており、脳組織の部位別凍結保存を第一例から行い、福祉村ブレインバンクが1994年に病院主導で発足した。2009年より包括脳神経科学ブレインネットワーク、2016年より学術研究支援基盤形成「コホート・生体試料支援プラットフォーム」の一翼を担っている。【方法】93年より10ヶ所以上の詳細な部位毎にサンプリングして凍結サンプル保管を行って来た。しかし、その時間、空間、人員的な問題から2011年からサンプル提供状況に基づき見直しを行い凍結チューブの大幅削減を行った。脊髄は、2006年より主に全身解剖症例で固定標本採取をはじめ、2010年より一部凍結保管も行っている。臨床病理カンファレンス(CPC)は3例/月で開催し、東三河地区の病院と連携して東三河神経病理CPCも開催している。また2014年12月よりTV会議システムを構築、2020年よりzoomを利用した配信も行い、各拠点との連携をさらに強化できる体制が構築されている。【結果】病院の性格上、後期高齢者、長期入院症例が多い。解剖症例の臨床記録は全て個人情報管理室で保管されている。2022年は32例の解剖を行い国内11件サンプル供与を行った。【考察】限られた人的資源の中でネットワークを構築することで病理診断の国際標準の担保や国際的学術雑誌への共同研究での発表が可能になっている。