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一般ポスター
ブレインバンク3
7月6日(木) 13:45-14:00 ポスター会場②
1P⑬-1
ブレインバンク事前ドナー登録20年の活動報告
Report on 20 Years of Brain Bank Pre-registration

小幡 真希, 原 愛徒, 荒川 晶, 織田 麻琴, 松原 知康, 森島 真帆, 村山 繁雄, 新井 冨生, 齊藤 祐子
東京都健康長寿医療センター
Maki Obata, Manato Hara, Akira Arakawa, Makoto Orita, Tomoyasu Matsubara, Maho Morishima, Shigeo Murayama, Tomio Arai, Yuko Saito
Tokyo Metropolitan Institution for Geriatrics and Gerontology

【目的】生前に死後脳提供を意思表示するブレインバンクのドナー登録がある。最終病理診断を経て研究リソース(献脳)登録となる。それには解剖承諾を行う遺族および臨床情報を提供する主治医の協力が欠かせない。2003年に本邦初のドナー登録が始まり、その20年間の活動について検討する。【方法】ドナー登録者の状況について、登録背景や解剖割合等を分析した。【結果】ドナー登録数と献脳数との推移を示す(図1)。全ドナー登録者は239名(2023年1月末現在)であった。年代では70~80代で146名と半数強であり、登録経緯は本人87名、親族42名、主治医紹介110名であった。死亡者115名のうち解剖には103名(約89%)が至った。年代は80代が最も多く41名(約40%)、家族によるドナー登録が77名(約75%)、主治医紹介が72名(約70%)であった。病理報告を74例の遺族へ行った。【結論】解剖・献脳登録に至ったドナー登録者は、主治医からの紹介および家族によるドナー登録の割合が非常に高いことが分かった。
7月6日(木) 13:45-14:00 ポスター会場②
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発達障害・精神・神経疾患ブレインバンク2022年度年次報告
2022 Annual Report, the Brain Bank for Neurodevelopmental, Neurological and Network Kansai Center

村山 繁雄1,2, 齊藤 祐子2, 別宮 豪一1,3, 望月 秀樹1,3, 米延 友希1,3, 山下 理佳1,3, 井上 貴美子4, 山寺 みさき4, 森 千晃4, 須藤 素弘4, 大江田 知子5, 松本 博志6, 池田 学7, 森井 英一8
1. 大阪大学大学院 連合小児発達学研究科子どものこころの分子統御機構研究センターブレインバンク・バイオリソース部門, 2. 東京都健康長寿医療センター高齢者ブレインバンク, 3. 大阪大学大学院医学系研究科神経内科, 4. 国立病院機構大阪刀根山医療センター脳神経内科, 5. 国立病院機構宇多野病院脳神経内科, 6. 大阪大学大学院医学系研究科法医学, 7. 大阪大学大学院医学系研究科精神医学, 8. 大阪大学大学院医学系研究科病態病理学
Shigeo Murayama1,2, Yuko Saito2, Goichi Beck1,3, Hideki Mochizuki1,3, Yuki Yonenobu1,3, Rika Yamashita1,3, Kimiko Inoue4, Misaki Yamadera4, Chiaki Mori4, Motohiro Sudo4, Tomoko Oeda5, Hiroshi Matsumoto6, Manabu Ikeda7, Eichi Morii8
1. Brain Bank for Neurodevelopmental, Neurological and Psychiatric Disorders, United Gaduate School of Child Development, Osaka University, 2. The Brain Bank for Aging Research, Tokyo Metropolitan Institute of Geriatris and Gerontology, 3. Department of Neurology, Graduate School of Medicine, Osaka University, 4. Department of Neurology, NHO Osaka Toneyama Medical Center, 5. Department of Neurology, NHO Utano Hospital, 6. Department of Legal Medicine, Graduate School of Medicine, Osaka University, 7. Department of Psychiatry, Graduate School of Medicine, Osaka University, 8. Department of Pathology, Graduate School of Medicine, Osaka University

【目的】発達障害・精神・神経疾患ブレインバンク(BBNNP)の目的の第一は、高齢者ブレインバンクとの協力体制の下、関西地区にブレインドナー受け入れ拠点を構築することである。第二の目的は、大阪大学法医学教室の協力の下、発達障害研究を目的とするautism brain net、若年コントロールを得る目的のEdinburgh Sudden Death Bank、気分障害研究のためのsuicide bankへの道を開くべく、レジストリ体制を構築することである。【方法】第一の目的のため、大阪大学神経内科・脳卒中科、病理学科、精神科と、国立病院機構大阪刀根山医療センター・宇多野病院連合との連携の下、ホームページの立ち上げ、ドナーカード発行を含む、搬送剖検システムを構築した。 第二の目的のため、大阪大学法医学教室における法医解剖例において、鑑定・死因究明に資する内、半脳を凍結し、対側関心領域から検体を採取した。標本作成、神経病理評価はBBNNPで行う体制を構築した。【結果】浅香山病院からのブレインドナー症例の阪大病理への搬送剖検システムが構築できた。国立病院機構連合により、長期フォロー患者の確定診断、リソース構築を行うことができた。長期療養型病院、在宅療養からの搬送剖検ルートも構築出来た。また司法解剖レジストリも始動することができた。【考察】ブレインドナー登録者は全国に存在し、関西拠点の構築により大阪、京都、神戸をカバーできた。欧米では司法解剖のバンク化による研究が法的基盤で行われており、今回その端緒を開くことが出来た。今後さらに努力を続けて行く所存である。
7月6日(木) 13:45-14:00 ポスター会場②
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大阪大学神経内科ブレインバンクの現状報告
Status Report; Brain Bank of the Department of Neurology, Osaka University

別宮 豪一, 村山 繁雄, 山下 里佳, 米延 友希, 望月 秀樹
大阪大学 神経内科
Goichi Beck, Shigeo Murayama, Rika Yamashita, Yuki Yonenobu, Hideki Mochizuki
Dept. of Neurol., Osaka Univ.

【背景】大阪大学神経内科学教室では、死後脳・脊髄の病理診断は1979年より行われており、2016年までに約200症例の蓄積がある。ただし、問題は全脳がホルマリン固定されていることであった。2017年より、神経筋変性疾患の研究使用目的を前提とした凍結死後脳組織の蓄積を行うため、ブレインバンクの構築を開始した。【方法】病理解剖に際し、半脳をホルマリン固定ののち病理診断に、もう半脳を凍結処理ののち保管し、医学基礎研究のリソースとする。ブレインバンクを拡充させるためには解剖数を増やす必要があるが、このために生前同意システムと他院死亡例の持ち込み解剖システムを導入した。【結果】2023年2月時点で、40症例の凍結脳脊髄組織の蓄積がある。疾患の内訳は、パーキンソン病:11例(家族性を含む)、脳血管障害:7例、意味性認知症:4例、多系統萎縮症:2例、筋萎縮性側索硬化症(家族性を含む):2例、進行性核上性麻痺:1例、アルツハイマー病:1例、家族性アミロイドーシス:1例、多発性硬化症:1例、などとなっている。また、13症例より開頭剖検の生前同意取得がなされており(1例はのちに同意撤回)、うち6症例に関しては既に病理解剖が施行された。【結論】大阪大学神経内科ブレインバンクを創設し、凍結脳脊髄組織の蓄積を開始した。ブレインバンクならびに生前同意システムという制度があることを、広く周知するために啓蒙活動が必要であると考えられる。当科関連施設のほか、大阪大学精神医学教室やその関連施設である浅香山病院等と連携を深め、今後も研究リソースとしての凍結脳組織の蓄積に努めていきたい。