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一般ポスター
感染症・プリオン1
7月8日(土) 13:20-13:35 ポスター会場②
3P⑪-1
ホルマリン固定パラフィン包埋標本(FFPE)からの新しいPrPres検出法
Novel procedure detecting PrPres from formalin-fixed paraffin embedded samples

小山 祥子1, 八木田 薫1, 濱崎 英臣1, 野口 英子1, 司城 昌大1,2, 松薗 構佑3, 高瀬 敬一郎4, 甲斐 敬太5, 相島 慎一6, 伊東 恭子7, 二宮 利治8, 笹ケ迫 直一9, 本田 裕之1
1. 九州大学 神経病理, 2. 福岡歯科大学 総合医学講座内科学分野, 3. 自治医科大学 脳神経内科, 4. 飯塚病院 脳神経内科, 5. 佐賀大学医学部附属病院 病理部・病理診断科, 6. 佐賀大学医学部 病因病態科学, 7. 京都府立医科大学大学院医学研究科 分子病態病理学, 8. 九州大学大学院医学研究院 衛生・公衆衛生学, 9. 国立病院機構 大牟田病院 脳神経内科
Sachiko Koyama1, Kaoru Yagita1, Hideomi Hamasaki1, Hideko Noguchi1, Masahiro Shijo1,2, Kosuke Matsuzono3, Keiichiro Takase4, Keita Kai5, Shin-ichi Aishima6, Kyoko Itoh7, Toshiharu Ninomiya8, Naokazu Sasagasako9, Hiroyuki Honda1
1. Dept. of Neuropathol., Kyushu Univ., Fukuoka, Japan, 2. Dept. of Internal Medicine, Fukuoka Dental College Medical and Dental Hosp., Fukuoka, Japan, 3. Dept. of Neurol., Jichi Medical Univ., Tochigi, Japan, 4. Dept. of Neurol., Aso Iizuka Hosp., Fukuoka, Japan, 5. Dept. of Pathol., Saga Univ. Hosp., Saga, Japan, 6. Dept. of Pathol. and Microbiol., Saga Univ., Saga, Japan, 7. Dept. of Pathol. and Applied Neurobiol., Kyoto Prefectural Univ. of Medicine, Kyoto, Japan, 8. Dept. of Epidemiol. and Public Health, Kyushu Univ., Fukuoka, Japan, 9. Dept. of Neurol., National Omuta Hosp., Fukuoka, Japan

【背景】プリオン病の確定診断には異常型プリオン蛋白(PrPres)の検出が必要であり、従来、脳凍結サンプルを用いwestern blotting (WB)にてPrPresを同定している。今回、我々はFFPEからのPrPres同定を試みた。【対象と方法】プリオン病14例(sCJD 7例、GSS 3例、GPIアンカーレスプリオン病[GPIALP] 2例、V180I変異CJD 2例)と、コントロール5例を用いた。ホルマリン固定後、プリオン病の検体は蟻酸処理をして感染性を失活させた。FFPEブロックから薄切し脱パラフィン後、PK処理の有無で PK(+)とPK(-)に分け、citrate-SDS bufferにて蛋白抽出した。WBは4種類の抗プリオン蛋白抗体(3F4、EP1802Y、Tohoku 1、Tohoku 2)を用いた。また病理組織学的評価も併せて行った。【結果】全症例のPK(-)でプリオン蛋白のシグナルがみられた。コントロールのPrPresは検出されなかった。sCJDでは19~21kDaに無糖鎖型PrPresがみられ、Tohoku 1、Tohoku 2ではシグナルの強弱が認められた。GSSとGPIALPの3F4では、どちらも8/9kDaのPrPresとスメアがみられた。一方、EP1802YではGSSでスメアがみられるも、GPIALPでは全く検出されなかった。V180IではPrPresの検出は困難であった。【考察】蛋白抽出前にPKを用いることでFFPEからPrPresが検出できた。エピトープが異なる複数の抗体を用いる事で、プリオン病病型の鑑別が可能であった。また、sCJDのシグナルパターンはtype 1とtype 2の組織像とも一致していた。本方法は病理組織学的評価と生化学的評価が同一サンプルで施行可能であり、また感染性が不活化されているため安全性が高く、プリオン病の診断や研究の一助となることが期待される。
7月8日(土) 13:20-13:35 ポスター会場②
3P⑪-2
画像および病理学的に後頭葉皮質下白質の鉄沈着を確認しえた進行性多巣性白質脳症(PML)の一剖検例
An autopsy case of progressive multifocal leukoencephalopathy with massive iron deposition in the juxtacortical lesions

初田 裕幸1,2,5, 岡本 光祐1, 武田 景敏1, 佐野 輝典5, 高尾 昌樹5, 大澤 政彦2, 三木 幸雄3, 中道 一生6, 伊藤 義彰1
1. 大阪市立大学大学院医学研究科 神経内科学, 2. 大阪市立大学大学院医学研究科 診断病理・病理病態学, 3. 大阪市立大学大学院医学研究科 放射線診断学・IVR学, 4. 脳神経内科はつたクリニック, 5. 国立精神・神経医療研究センター 臨床検査部, 6. 国立感染症研究所 ウイルス第一部
Hiroyuki Hatsuta1,2,5, Kosuke Okamoto1, Akitoshi Takada1, Terunori Sano5, Masaki Takao5, Masahiko Ohsawa2, Yukio Miki3, Kazuo Nakamichi6, Yoshiaki Itoh1
1. Department of Neurology, Osaka Metropolitan University Graduate School of Medicine (OMU), 2. Department of Pathology, OMU, 3. Department of Diagnostic and Interventional Radiology, OMU, 4. Hatsuta Neurology Clinic, 5. Department of Pathology and Laboratory Medicine, National Center of Neurology and Psychiatry, 6. Department of Virology 1, National Institute of Infectious Diseases

【症例】死亡時71歳女性。【臨床経過】X-3年1月、濾胞性リンパ腫の診断で化学療法(R-CHOP)6コース施行後、リツキシマブを2年間投与していた。X-1年4月両側視力低下を自覚、X年3月、喚語困難が出現し近医受診、頭部CTにて左側頭・頭頂・後頭葉の皮質下に広範な低吸収域を認めた。神経学的には感覚性失語、左観念運動性失行、失算、失書を認めた。脳MRIで両側後頭葉、左側頭-頭頂葉皮質下に造影効果を有さないT2高信号を認め、磁化率強調画像(SWI)では両側後頭葉の白質近傍皮質に広汎な低信号を認めた。髄液検査ではJCウイルスPCR陽性を認めPMLと診断、メフロキンを開始した。その後、臨床症状悪化し、失外套状態を経て、肺炎で死亡、全経過1.5年であった。【神経病理所見】脳重1050g。肉眼的に一部の前頭葉を除く大脳白質は褐色調の色つきあり、皮質は白質に比し保たれるが頭頂葉は薄く色付きを認めた。組織学的には色つきを認めた白質では広範囲に髄鞘染色性が低下、後頭葉外側では白質の粗鬆化が著しい。脱髄巣には多数の肥胖型アストロサイトを認め、辺縁には、核が明るく、通常の2,3倍の大きさに腫大したオリゴデンドロサイトを多数認め、多核巨細胞、歪な核を持つ細胞といった多彩な細胞を伴った。抗VP1抗体では腫大したオリゴデンドロサイトの核が陽性を示すほか、反応性アストロサイトの胞体も淡い陽性所見を呈した。ベルリンブルー染色では後頭葉外側優位に鉄の沈着とミクログリアの鉄貪食像を認め、抗フェリチン抗体免疫染色では、同部位の批判性アストロサイトとマクロファージの胞体が陽性を示した。【考察・結語】悪性リンパ腫後PMLとして画像および病理で鉄沈着を確認した貴重な症例である。
7月8日(土) 13:20-13:35 ポスター会場②
3P⑪-3
E200K変異およびM232R変異を認めた遺伝性クロイツフェルトヤコブ病の一例
A case of genetic Creutzfelt-Jakob disease with E200K/R232R mutation

寺田 達弘1,2, 荒川 晶3, 松原 知康3, 松平 敬史1,2, 高嶋 浩嗣1,2, 川口 典彦1, 荒木 保清1, 佐藤 克也4, 齊藤 祐子3, 村山 繁雄3,5, 小尾 智一1
1. NHO静岡てんかん・神経医療センター 脳神経内科, 2. 浜松医科大学 光尖端医学教育研究センター フォトニクス医学研究部 生体機能イメージング研究室, 3. 東京都健康長寿医療センター 神経病理(高齢者ブレインバンク), 4. 長崎大学 医歯薬学総合研究科 医療科学専攻 保健科学分野(神経内科学専攻), 5. 大阪大学大学院連合小児発達学研究科附属子どもの心の分子制御機構研究センター ブレインバンク・バイオリソース部門・医学系研究科神経内科学
Terada Tatsuhiro1,2, Akira Arakawa3, Tomoyasu Matsubara3, Takashi Matsudaira1,2, Hirotsugu Takashimas1,2, Norihiko Kawaguchi1, Yasukiyo Araki1, Katsuya Satoh4, Yuko Saito3, Shigeo Murayama3,5, Tomokazu Obi1
1. Department of Neurology, Shizuoka Institute of Epilepsy and Neurological Disorders, 2. Department of Biofunctional Imaging, Preeminent Medical Photonics Education & Research Center, Hamamatsu University School of Medicine, 3. Department of Neuropathology (the Brain Bank for Aging Research), Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology, 4. Department of Locomotive Rehabilitation Science, Nagasaki University Graduate School of Biomedical Sciences, 5. Brain Bank for Neurodevelopmental, Neurological and Psychiatric Disorders, United Graduate School of Child Development and Department of Neurology, Graduate School of Medicine, Osaka University

【症例】死亡時69歳男性.兄がクロイツフェルトヤコブ病(CJD)の家族歴.海外渡航・手術歴なし.X月から意欲低下,X+1月に話がかみ合わず,X +2月に道具使用障害,自発言語低下と歩行障害で受診.神経学的に失調,ミオクローヌス,常同運動を認め,Mini-Mental State Examination10点.頭部MRI拡散強調画像で右大脳皮質,基底核に高信号,髄液RT-QUIC陽性,14-3-3蛋白陽性,プリオン蛋白遺伝子解析でE200K変異とM232R変異を別アレルに認め,コドン129:M/M, コドン219:E/Eで遺伝性CJDと診断.X +3月に脳波で周期性同期性放電が出現.X +4月に無言無動,経鼻経管導入.繰り返す誤嚥性肺炎でX +8月に死亡.【病理所見】死後6時間で病理解剖.固定前脳重は1,220g.肉眼的に、大脳皮質の広範な萎縮,尾状核・小脳の萎縮を認めた.組織学的に、前頭葉・後頭葉優位に広範な神経細胞脱落と肥胖性アストロサイトの増生を認め,ニューロピルの微小なspongiformic changeを伴った.皮質下緒核では,線条体に強調される神経細胞脱落とグリオーシスを認めた.小脳では顆粒細胞の高度の脱落とグリオーシスを認めた.脳幹では下オリーブ核の軽度の神経細胞脱落とグリオーシスも伴っていた.海馬の神経細胞は比較的保たれていた.抗プリオン蛋白抗体免疫染色では, synaptic patternの陽性所見を広範に認め,小脳顆粒細胞層には少数の顆粒状陽性所見を伴った.Western blotでは,type 1にごく少量のtype 2を伴っていた.【考察・結論】E200K富士川流域高集積地域での、M232R合併例である。タイプ1に少量のタイプ2の混在の意義、E200K単独例との差異について、さらなる症例の集積が必要である。