委員長便り

【日本神経化学会】委員長だより(シンポジウム企画委員会)
 
 
 
シンポジウム企画委員会の委員長を拝命しております奈良医大精神科の牧之段学と申します。本委員会の主な役割は各大会における理事会企画シンポジウムの提案ですが、公募シンポジウムと異なるのは日本神経化学会としてのこだわりを前面に出した企画にすることができる点であり、また、それが期待されてもいます。委員は、NCNPの有村奈利子先生、大阪大学の池中建介先生、九州大学の伊藤美菜子先生、東京大学の小山隆太先生、東京農業大学の中澤敬信先生、名古屋大学の和氣弘明先生と私ですが、議題を提案するとあっという間に様々なアイデアが集まる、とても頼もしく、かつとても楽しく仕事ができる先生方で、本当に有難いです。2022年度の沖縄大会では「エクソソームと神経化学 ~がんから神経へ」と題したシンポジウムを開催します。委員の先生方や理事長の岡野栄之先生、大会長の竹居光太郎先生らと議論を重ね、日本神経科学学会と日本神経回路学会との合同大会であることも踏まえてまとめました。
 
エクソソームとは細胞間のコミュニケーションを司る小胞であり、がん研究領域ではこれまでの概念を覆すような研究成果が立て続けに報告されています。神経化学領域でも徐々に興味深い知見が得られておりますが、発展途上です。本学会の主題の一つは「分子と疾患」であり、病理の中核分子に介入して治療する手法の開発が求められています。脳内病理の中核分子が明らかになったものの創薬の段階で血液脳関門に邪魔をされるということは多々ありますが、このエクソソームは血液脳関門の透過性が高く、中枢神経系の病態解明や治療法開発に新展開をもたらすと期待されています。本シンポジウムでは、最新のがんエクソソーム研究と神経化学エクソソーム研究をご紹介いただき、がん領域で培われた知見を神経化学領域でどう生かせるのか、エクソソーム研究は神経化学領域でどこまで進んでいるのか、などが議論される予定となっています。本シンポジウムを通じ、「分子と疾患」の目標に一歩でも近づけられたら幸いです。
 
現在、広島大学の今泉和則先生が大会長をされる2023年度大会の理事会企画シンポジウム案を検討しています。日本神経病理学会との合同大会であり、双方の学会員にとり有用な企画となることを目指しておりますが、日本神経化学会が培ったこだわりを重んじたシンポジウムにします。
 
シンポジウム企画委員会
牧之段学
 
(2022年4月4日)