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議事録

2008年度(平成20年度)評議員会議事録

日本神経化学会
2008年度評議員会議事録

日時:
2008年9月12日(金)12:10~12:40
会場:
富山国際会議場 2階 B会場・C会場
出席:
出席77名、委任状61名(評議員総数241名、定足数49名)
議長:
髙坂 新一 理事長
進行:
池中 一裕 副理事長
議題:
日本神経化学会の発展のためにすべきこと

議事に先立ち、髙坂新一理事長より以下の通り挨拶がなされた。
今大会は、当会が提唱する「口演の重視」、「若手研究者の顔が見えるような大会」が反映された、充実したものとなっている。今後もこのコンセプトを継続させ、学会がさらに発展することを期待する。当会をよりよいものにするためには、評議員の協力も必須である。
よって本日は活発な議論を願いたい。

池中一裕副理事長より、将来計画委員会での議論を踏まえ、以下の通り意見がなされた。
今大会では使用言語を口演発表:英語を推奨、討論:日本語としたが、発表経験が少ない若手研究者の中には、英語での発表に抵抗感を感じる者もあるようだ。さらに、英語推奨の目的である海外在住の外国人については、トラベルアワード以外で大会に参加することはまれであろう。
よって、多くの若手研究者に門戸を開放するためにも、発表者のレベルに応じた言語を選択できるよう配慮してはどうか。例えば、修士課程レベルの発表者は日本語での発表を可能とし、ポスドク以上の発表者には英語の使用を推奨する等の対応は如何か。


(意見1)

学生の発表を聞いていると、英語・日本語問わず言葉の力が弱く、研究成果が伝わりにくいことが多い。
発表の英語化を目指した背景は、当時、日本の研究を学ぶため、外国から多くの研究者が大会に参加していたことにあり、現在はそのような光景は少ないと感じる。
よって、現状にそぐわない英語化を進めるより、学生の発表力向上を狙うトレーニングを強化すべきではないか。

(意見2)

不完全な英語での発表が多く、聞くに堪えないケースもある。本当に英語発表のトレーニングとなっているのか疑問である。会場に日本語がわからない人がいる場合を除き、日本語で正確な発表を行う方が好ましい。英語のトレーニングは各教室で実施するべきではないか。

(意見3)

海外とのコミュニケーションは重要であり、当会でも外国人研究者のプレゼンスを大きくした方がよいと考える。
第一線で活躍している外国人研究者のシンポジウムやセッションを企画してはどうか。世界でトップクラスの研究者と対等に討論することにより、必然的に英語の使用が促進されるだけでなく、学生にとっては上質な講義になることが期待できる。

以上の意見を踏まえ、髙坂新一理事長より発言があった。
  • 学生に対しては、第一にプレゼンテーションの教育を行うべきである。一般口演では「英語を推奨」から「日本語可」とし、充実したプレゼンテーションやディスカッションを行う力を養う教育的要素を復活させたい。
    また、(意見3)の通り、シンポジウムやセッションでは国際的に活躍している外国人研究者を招き、実りある企画を考えたい。
  • 海外の学会等へ会員(特に若手研究者)が積極的に参加できるような環境を整えたい。
    会員が海外へ出ることにより日本神経化学会のアピールになるだけでなく、若手研究者にとって英語鍛錬の場となる。よって、参加旅費にかかるトラベルアワードを創設したいと考えるが、そのためには学会財政の強化が必要となるため、賛助会員の獲得等協力願いたい。
辻省次脳研究推進委員会委員長より、脳研究推進委員会の意見として以下の通り意見された。
  • 脳科学に関する政策や研究費等について、リアルタイムに会員へ発信していきたい。
  • 若手研究者へ科研費申請に関するアドバイスは重要であるため、大会で文部科学省系のprogram directorやauthorを招き、ワークショップ等を企画するとよいのではないか。
  • 日本神経化学会の方向性を強く意識した活動を行うべきではないか。例えば、chemical biology・neurobiologyといった物質ベースで創薬研究・translational researchに結び付くものや分子イメージング等を取り上げたセッション・シンポジウムを企画してはどうか。また、それらの分野に携わる若手・中堅研究者に対し積極的にリクルートするべきである。
(意見1)

辻委員長の意見の通り、chemical biologyは日本神経化学会にとって重要なターニングポイントであり、創薬という方向へ向かっていくべきではないかと考える。北米では神経治療薬にかかる基礎研究からすでに次のステージへと進んでおり、translational researchよりさらに進んだ、創薬というターゲットに近いところでのプラットホーム作りが重要だとされている。日本ではそのプラットホーム作りがほとんどできていない状況であるため、日本神経化学会を中心としてプラットホーム作りを模索するべきではないか。

髙坂新一理事長より以下の通り意見された。
脳研究推進委員会から提案された、脳科学に関する政策や研究費等に関する情報発信についてはすみやかに実行へ移してほしい。
また、(意見1)の通り、chemical biology・neurobiologyは重要な領域であるので、大会等で積極的に取り上げていきたい。
しかし、chemical biology・neurobiologyへ完全移行するのではなく、basic scienceとapplied scienceをうまく融合させた学会にしていきたい。

また、米田幸雄将来計画委員会委員長より以下の通り提案があった。
家庭との両立等さまざまな要因で研究活動に不安を感じている女性研究者に対し、どのようなことで悩み、どのような対策を求めているかを受け止め、女性研究者の学会参加を促進したい。
例えば、ホームページに女性研究者の声をまとめるようなコーナーを設けてはどうか。

米田幸雄将来計画委員会委員長の意見に対し、髙坂新一理事長より以下の通り発言があった。
女性研究者に対するフォローは重要であり、ホームページで意見を集約することは効果的であろう。ホームページ担当の出版・広報委員会で具体策を検討してほしい。
また、大会では女性研究者を座長に積極的に起用する等の対策を考えられるだろう。


以上を以って、本年度の評議員会を閉じた。