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議事録

2010年度(平成22年度)評議員会議事録

日本神経化学会
2010年度評議員会議事録

日時:
2010年9月3日(金) 11:30~12:00
会場:
神戸国際会議場 4階 第7会場
出席:
出席67名,委任状69名(評議員総数231名,定足数47名)
議長:
髙坂 新一 理事長
進行:
井上 和秀 副理事長
議題:
日本神経化学会の活性化に向けた具体策
1)若手理事登用の為の補充理事枠の利用について
2)若手会員による学会運営参画への制度設計
3)2013年合同大会について

井上和秀副理事長より,議題について以下の通り発言された。

学会のあり方について,近年評議員会より様々な意見が出されている。それを踏まえ理事会で議論が重ねられ,若手会員の活性化について具体策を提案することとなった。
例えば,補充理事として若手会員を登用し,学会運営に参画いただく制度を整える等考えているが,背景について髙坂新一理事長より説明いただく。

髙坂新一理事長より,以下の通り説明された。


議題1)について

学会の活性化には若手の活躍が不可欠である。そのため,30代後半~40代前半の理事を登用し,若手の意見を反映させてはどうか。
これを会則等変更を伴わず迅速に実行するには,補充理事枠を活用することになる。本来補充理事は,投票数,地域性,専門性を考慮し選出されているが,この枠を若手会員に開放し,学会の将来をアクティブに考えている方に参加いただけるシステムを構築できないか考えている。本案についてご意見いただきたい。

議題2)について

これまで将来計画委員会を中心に学会の活性化について議論されており,着実に実現しているところである。例として,大会を討論中心の合宿形式で開催したり,学会の未来を担う世代を若手育成セミナーを通じて教育する等,充実した事業が図られている。

さらに,学会運営そのものに若手が参加し,若手がやりたいことを実現できるような体制作りを将来計画委員会にて検討いただいているところである。
ついては,制度設計についてアイデアを頂戴したい。

議題3)について

本会にて議論いただく予定であったが,9月1日開催の当会理事会及び日本神経科学学会理事会での合意事項について報告する。

2013年6月23日から27日まで京都国際会議場にて,WFSBP(World Federation of Societies of Biological Psychiatry)World Congressが武田雅俊日本生物学的精神医学会理事長の下開催されるが,それに先立ち,6月20日から23日まで同会議場にて,日本神経科学学会と合同大会を行うことと決した。なお,当会大会長は木山博資氏,神経科学大会長は加藤忠史氏である。

井上和秀副理事長より,以下の通り意見された。


若手の理事登用は活性化につながる反面,研究に邁進すべき世代に負担を課すという懸念もある。その点について意見いただきたい。


野村靖幸氏より,以下の通り意見された。


理事長の提案は大変結構だと思う。当会発展のため学術面で若手を育成していく試みは,若手育成セミナーに代表されるように成功裏に進んでおり,今後も継続が望まれる。管理運営面でも若手の参画は必要であり,大いに賛成する。また,その手段として補充理事枠を活用することについても慎重に議論を重ね,機運が高まれば採用してもよいかと思う。
ただし,30代後半から40代前半は研究者にとって特に大切な時期であり,学会の仕事がサイエンスへのエネルギーを分散させる事態は回避すべきであろう。
理事としての意見は尊重するが,過度な作業は担当いただかない等配慮が必要ではないか。


また,和田圭司氏より,以下の通り意見された。


理事長案及び野村靖幸氏の意見に賛同する。一番重要なのは,若手が意見を出しやすく,それをシニア層が吸い上げる環境作りであろう。
若手理事枠を設けても,単に出席するだけで意見が出されなければ意味がない。理事会や評議員は,若手の自由な意見を受け止めるべく意識改革が必要であろう。
今回,若手育成セミナーの世話人を務めたが,参加した56名の学生は皆非常に熱心であり,20代はとてもアクティブになってきているという印象を受けた。その世代と我々をつなぐ30代・40代の意識も同様に向上させていくべきである。


井上和秀副理事長より,以下の通り意見された。


当会は以前より,比較的若手の意見をおおらかに受け止める雰囲気があったように思う。一方,完全なトップダウンで運営され,若手がフランクに発言しにくい雰囲気が指摘される学会も存在する。よって,当会はこの点を魅力のひとつに据えてもよいと思う。
理事会のファシリテーションとして,若手を理事に登用した方がいいのではないかという観点について意見をいただきたい。


米田幸雄氏より,以下の通り意見された。


今回の大会では,学生の意欲的な姿勢が目に付いた。シンポジウムでの質問に対し,自分が持てる力を全てぶつけ真摯に取り組んでおり,非常に好感を持った。よって,若手の意見を積極的に取り入れることには大いに賛成である。しかし,野村氏が懸念するように,本人の研究活動が阻害されないよう配慮しなければならない。
以上から,理事長案に総論としては賛成だが,若手の意見をうまく取り入れるよう,理事会登用に限らず,別の形も模索してもよいのではないかと思う。


また,池中一裕氏より,以下の通り意見された。


最近は,若い世代がどんどん育ってきていると実感しており,若手の参画には賛成である。しかし,若手が学会に対し訴えたい主張があるかということがポイントになるだろう。特に意見もない状態で学会運営に参加しても,「やらされている」感覚に陥る可能性もあり,慎重な検証が必要であろう。


引き続き,武井延之氏より,以下の通り意見された。


若手が出席していない評議員会でこのような議論を行うこと自体,トップダウン的な印象を受ける。また,理事会に若手が参画しても,自由に発言できるのか不安は残る。
それよりも,将来計画委員会のような組織を若手に任せ,理事はオブザーバーとして発言権は持たず,議論を聞くのみという形式を取った方が,本当の若手の意見を集めやすいのではないか。


さらに,小泉修一氏より,以下の通り意見された。


若手の理事登用には賛成である。若手にとって学会の仕事が負担となる側面も否定できないが,できれば相当の役割を持たせた方がいいように思う。
例えば,若手が中心となる企画を完全に託して独自性を発揮させれば,学会に参加しているという実感が得られ,モチベーションが上がるのではないか。また,他学会に比べ,当会は若手も発言しやすい雰囲気はあり,その点はさらに助長させてもいいのではないか。


井上和秀副理事長より,以下の通り意見された。


若手に目的を持たせることで,理事会でも若手が意見を出しやすくできるかもしれない。
今回の大会では,若手企画のシンポジウムも開催し,若手に対しては手厚くカバーできたと思っている。
なお,若手と共に,女性もクローズアップされる存在であろうが,実際に女性はどのように感じているのか。


馬場広子氏より,以下の通り意見された。


自分は特に性別を意識したことはない。近頃は女性が手厚くされているが,逆差別になりかねない場面もあるように感じる。性別を意識せず,純粋に評価される環境が望ましい。
なお,若手の参画については,やはりなにか責任を持った方が学会運営に携わる充実感がわき,学会への愛着も出てくるのではないかと思う。


また,岡野栄之氏より,以下の通り意見された。


学会の全体像は,理事会に参加した方がわかりやすく,将来の方向性も考えやすい。よって,若手が複数名参加できるといいのではないか。


引き続き,熊倉鴻之助氏より,以下の通り意見された。


数年来,評議員会や理事会等にて学会の活性化は議論の中心となっていたが,学会の活性化とはなにか,なにを以って活性化というかということも考えてはどうか。
つまり,学会に有益となると同時に,若手が学会運営に参加することにより,どのような利益を獲得できるかという点を考えるべきではないか。
単に学会活動への参加を求めるだけでは,献身的な協力は得られない可能性があろう。当会では,若手育成セミナーの開催や大型研究プロジェクト等に関する指導や方針表明を通じ,具体的目標を年々設定しており,これはよい方向に向かっていると思う。今後,それらが若手にとってどうアピールできるのかを考えるべきではないか。


本日の討論を踏まえ,井上和秀副理事長より,以下の通り意見された。


本日の議論をまとめると,『総論については賛成だが,運用の仕方には配慮する必要がある』ということになろう。若手の研究活動を阻害することがないよう,意見の集約方法を幅広く理事会・執行部で検討すべきである。


最後に髙坂新一理事長より,以下の通り意見された。


2011年2月に理事改選が予定されており,次期理事会にて,若手の理事登用または委員会等下部組織への積極的登用が実現するかもしれないが,いずれにせよ,将来は今回の議論を反映させてほしい。
また,積極的な投票が当会の発展に繋がるため,必ず投票してほしい。


以上を以て,2010年度評議員会を閉じた。