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議事録

2011年度評議員会議事録

2011年度評議員会議事録

日 時:2011925日(日) 17:3018:10

会 場:瑠璃光 「花離宮」 1階 

出 席:出席50名,委任状69名(評議員総数232名,定足数47名)

議 長:井上 和秀 理事長

進 行:池中 一裕 副理事長

議 題:1.大会のあり方

    2.会員増の具体策

    3.グローバル化への対応

 

議事に先立ち,池中一裕副理事長より物故会員1名について報告され,黙祷が捧げられた。

 

■議題1.大会のあり方

 

池中一裕副理事長より,議題について以下の通り発言された。

これまで大会のあり方について幾度も議論されてきたが,考え方は変わっているので,今回も皆様の意見をいただきたい。現在,本学会と日本神経科学会との合同大会が3年に1度開催されている。合同大会の覚書が2013年までであるが,2016年以降についてのご意見をいただきたい。また,今回のような本学会単独の比較的小さい規模の大会,3年に1度の合同大会,他学会とのゆるやかな連合の大会が開催されている。本学会は何を目指していくのか,このままでいくのか,何かをすべきではないか,ということに対してご意見をいただきたい。

 

澤本和延氏より,以下の通り意見された。

本学会と日本神経科学学会の両方に所属する者の中には,本年度のように近い日程で別々に開催されると参加が大変なので,合同開催の方が良いという意見もある。しかし,合同大会のみになってしまうと,情報量は日本神経科学学会の方が多く,教育や議論を重視する本学会の特徴が出しにくいため,本学会としてメリットがあるのかわからない。単独大会や合同大会など,年により内容が異なる方が,参加者にも面白い。日本神経化学会の参加者を増やすには疾患研究以外の情報もあった方が良いので,臨床的な学会とともに,基礎的な学会も含めて,連合大会を数年に一回行なうとよいのではないか。

 

小泉修一氏より,以下の通り意見された。

学会のスタイルと目指す方向を分けて考えてはどうか。

スタイルは,大勢で聞くことではなく,本学会としてはディスカッションをたくさん行ない,深い議論をするスタイルを押していくことを目指すのであれば,単独大会を開催し差別化していく別の方向性を見出せるだろう。

目指すべき方向は,神経疾患を分子の言葉で明らかにしようとのことについては今までも議論されてきたが,これからもぶれないで突き進めていく。基礎もあり,臨床もありとのことで,バランスがよく進んでいけばいいだろう。

グリアなどは本学会が盛んに取り上げている話題の一つの核となるだろう。目指すべきスタイルと目指すべき方向性を分けて考えていくことが大切。よって,合同大会についても,これらをベースにして考えることが大切であるだろう。

 

池中一裕副理事長より,現時点で合同大会を続けていくべきか,やめるべきかの挙手が求められた。

 

合同大会を続けていくべきに参加者の約9割が挙手した。

 

竹居光太郎氏より,以下の通り意見された。

昔の「神経化学」の抄録については,演題を出す時大変な緊張感があり,演題を出し採択されることがすばらしいことだった。このようなことは大きな学会と一緒に行なっていくことで消えていってしまうことが寂しいと感じるので,この機会に考えてはどうか。

 

塩坂貞夫氏より,以下の通り意見された。

学会が巨大化したほうがいいのか,小さくなったほうがいいのかの2通りの考え方がある。たくさんの情報を得ようとするなら巨大化したほうがいい。しかし,現代はWEBやメール等で過剰な情報が多い。ところが,学生や若い研究者を考えると,話をする機会がなくなっており,巨大な学会でポスター発表ではその場に立っているだけということが多い。今大会は若手や研究者が話す機会が多く非常によかった。トレーニングの場が非常に少なくなっているので,一つは本学会の独自なディスカッションを多くすることと,若い人にチャンスを与えるという意味あいからするとあまり巨大にしなくてもいいのではないか。

 

榎戸靖氏より,以下の通り意見された。

本学会の特徴としては,議論をつくすことと若手を教育することの2つの目標がはっきりしているので非常にわかりやすい。

昔は査読があり,その査読のコメントに「昨年の大会の発表内容と全然進展がない」というコメントがあったことでリジェクトされたということがあった。つまり,小さな学会だからこそ発表者の仕事を把握している先生方がいた。よって,現在の本学会の規模としては非常にいいのではないか。

テーマを絞ることについては,研究会という形になるまで特化してしまうのではなく,規模は小さいが日本神経科学会よりも見えやすい大会を開催し,何年に一度は合同大会を開催する今までのやり方はそれほど間違っていないのではないか。

 

加藤忠史氏より,以下の通り意見された。

若手を育成したいし,じっくり日本語で議論したい,その上国際化したいなど,多くのものを求めすぎているように感じた。やはり,今回のように温泉地で開催し,日本語で盛んにディスカッションすることが,本学会の非常によいところではないか。

国際化するなら全部英語にしないといけないし,外国人を招くには,ハブ空港の近くで開催したほうが良い。よって,完全に国際化するのは3年に一度のNeuroの時にして,それ以外は本学会の特徴を出して開催することでよいのではないか。

 

池中一裕副理事長より,以下の通り意見された。

皆さんの意見が集約されてきている。3年に1度は継続して合同大会をする。ひとつにしばられていないことがよいことではないか。

 

仲嶋一範氏より,以下の通り意見された。

合同大会の時,トラベルアワード受賞者の外国人が全員日本神経科学学会を選んで参加登録したことがあるなど,やはりどうしても「神経化学」は「ニューロサイエンス」より影にまわりやすいリスクはある。ただ,本学会がいつも行なっている長めの口頭発表のセクションを本学会として特別にいれるなど,本学会の特徴を合同大会の際に日本神経科学学会の会員の方たちにも知っていただくようにできたら,合同大会を行なっていく意味が一層高まるのではないか。ちょうど次回の合同大会の化学と科学の大会長はいずれも本学会の理事としてこの議論にも参加されているので,よい機会としてお互いに相談されてプログラムを工夫し,本学会としてのアイデンティティを出していくことがよいのではないか。

 

井上和秀理事長より,以下の通り意見された。

2010年の合同大会では,本学会の特徴をまだ知らない方達へ宣伝する場として,(学生を起用するなど特徴のあるプログラム)を一部盛り込むことができた。これからも積極的に本学会のよいところを他学会の会員に伝えていきたい。本学会はクオリティが高く情報量の多い学会にしていきたい。合同大会では,伝えたいことや学びたいことをしっかりと反映できるような内容をおさえれば,スタイルは変化していってもよいだろう。

しかし,財政的には現在1,400名程の会員で毎年300万円程度の赤字体質であるので,それを解消するためには600人程度の会員増が必要である。そこで,会員を2,000人に増やしていきたいと申している。会員増に向けては活性化特別委員会で企画をしているが,このご時世では困難を伴うかもしれない。

なお,先ほどの意見についてであるが,韓国・中国には神経化学会はなくニューロサイエンスしかないので,韓国・中国からきている方はニューロサイエンスを選ぶのではないか。今この学会はとてもいい方向に向かっている。具体的には先にも述べたような経済基盤をしっかりできるような仕組みさえ整えばよいのではないか。

 

 

■議題2.会員増の具体策

 

池中一裕副理事長より,議題について以下の通り発言された。

会員2,000人くらいになると財政的にも安定し,思い通りの大会を開催することができるのではないか。会員増に対しては理事会でも議論をしているが,若手育成セミナーで引きつけた若手が,実際どの程度残って本学会に貢献してくれているのかも問われているが,会員をもう少し増やしたい。その他に本学会の魅力を高めるために2000年から奨励賞を設けている。


また,池中一裕副理事長より,本評議員会に参加されている評議員の中で奨励賞を受賞されている方に会場の前方にお越しいただき,会員増の具体策を含めて順番に発言をしていただくこととなった。

 

橋本均氏より,以下の通り意見された。

本学会には古くから参加していて思い入れがあり,これまで神経系の学会の中では,本学会一筋に活動してきている。(会員を増やすためには)①私のような一途な人間を増やす,②たとえば自身の研究室で入会者を増やす,③若手育成セミナーに参加されて学会に入会し定着してもらうような方を増やす。同時に,日本神経化学会に参加すれば卓越したレクチャーが聴けて,研究への刺激を受けれるような機会を一層増やしたり,病態の基盤研究にも強い本学会の特徴をアピールすることなどが有効ではないか。

 

片山泰一氏より,以下の通り意見された。

日本神経化学会は若い人がしっかり話せる部分がよいところだと思うし,自分もそのことを若い人達に伝えている。若い人は会費が安いとよいと言う。会員数の多い分子生物学会は会費が高くないため,学生が入りやすいというメリットがあったのではないか。つまり,学生の会費と正会員になるところに階段を大きくつけるが,そのまま正会員に自動的に入っていくような仕組みにならないものか。

 

津田誠氏より,以下の通り意見された。

自分は病気に関することを行なってきたので,本学会は大変魅力のある学会。若い方は学会に入会はするが,定着はしないのではないか。例えば就職後でもずっとこの学会に入っているメリットを感じさせるような色を出すことがひとつの作戦ではないか。

 

過去の受賞者からの意見1より,以下の通り意見された。

若手育成セミナーは,最初はすごく元気な学生が多かったが,今は学生が受動的になっているように感じる。若手育成セミナーに参加した学生(若手)から,学会に働きかけるなど何か新しい試みがあるとよいのではないか。例えば,ポスター賞の審査員を若手セミナー参加者にするなど,学会に参加しているという気持ちを与えられるともっと楽しくなるのではないか。

 

沼川忠広氏より,以下の通り意見された。

奨励賞は池中一裕選考委員長の時に応募をし,「どうして今回選ばれなかったかよく考えなさい」と書いてあり,この学会の教育をするという点で非常に影響を受けた。今度はもっとましなことにトライしようと思ったので,今の方向性で基本的にはよいと思う。所属先でもできるだけ戦力(若い方)がほしいと思い,学生が来るときは前日から一生懸命スライドを作っている。しかし,あまりにもこちらが熱くなりすぎると学生が来ないこともあり距離感が難しい。徐々に燃えるタイプは来ないので,そこをどうするかについては今後考えていきたい。

 

橋本亮太氏より,以下の通り意見された。

国際化を目的として学会の発表を英語にすることには反対していた。神経化学会は,若手の育成を一つのテーマにしている。これから勉強する若い方にとっては英語での発表を聞いても難しく理解しにくいのではないか。日本語で発表し,日本語で充分ディスカッションをして,研究自体がわかるように育成することがまずやるべき事ではないか。日本語で理解できれば英語でも理解できるようになるのではないか。このような観点を入れて進めていくとよいのではないか。若手育成セミナーについては,若手育成セミナーに参加して学会に入会している方が何人いるか,効果はどのくらいあるのかなど客観的な調査をし,今後の継続の可否について判断していくべきではないか。

 

池中一裕副理事長より,若手育成セミナーの調査について,将来計画委員会を中心に進めていくことが理事会で決定した旨説明された。

 

新田淳美氏より,以下の通り意見された。

一昨年に若手育成セミナーの講師をした時の学生参加者が自分の教室にいる。その方は参加した若手育成セミナーが非常に良かったと大学中に伝えてくれている。その宣伝のおかげで,今回富山大学からは10名程参加させていただいている。全然知らない学生から推薦のサインを求められ,こんなにも本学会は学生に興味を持たれる学会だと感じた。今回講師をしている先生が,3人ずつ円を広げていくことができたら,それだけでも70人~80人の会員増が見込める。年会費を下げることも重要であるが,今いる先生方が楽しそうに頑張って研究する姿を見せていれば自然に会員は増えていくのではないか。現状に不満はない。

 

東田千尋氏より,以下の通り意見された。

本学会と日本神経科学学会の両方の大会に参加したことのある方の意見を聞くと,日本神経科学会は情報が多いので刺激を受けている気になり,参加している気分になっているとの意見があった。

本学会に最近入会した人は,昔は査読が厳しかったことなどを知らない。結果2つの学会の差がわからないので,自分はなんとなく刺激を受けているように感じている日本神経科学学会に行ってしまう現実があるように感じる。以前,将来計画委員会でも話題になった査読や抄録をもっと詳しくすることで,ディスカッションが盛り上がるような状況にすることができたら,私たちが感銘を受けていた頃のよい点が戻るのではないか。また,今,助教をされている先生方に,本学会よさを本気で感じていただけるように,私たちの口コミ作戦や強制的に参加していただくことなどを地道に行なっていくことではないか。

 

丸山和佳子氏より,以下の通り意見された。

本学会の会員増については,「報酬系」という意味で,出たら楽しかったという思い出づくりをするということなのではないか。あそこの学会に出ると楽しい,その楽しさはいろいろな楽しさがある。一つはサイエンティフィックに面白いことがあった。駆出しの研究者も論文でしかお名前を拝見したことがないような先生がお声をかけてくださったということもリバードである。自分は研究室の中で本学会に入ってくださった方たちに同窓会を行なっている。ソーシャルイベントでもサイエンティフィックイベントでもいいので,何かリバードシステムをうまく動かすとよいのではないか。

 

池中一裕副理事長より,以下の通り意見された。

ポスドクから来ていた方は,正会員のため最初から高い年会費を払うことになるので,最初の1年間は格安料金で試してもらうお試し期間を作ることなど,検討する価値があるのかもしれない。

 

井上和秀理事長より,以下の通り意見された。

本当に有難く拝受いたしました。皆さま方がご自身のおかれた状況の中で本学会を愛されてコツコツと行なっていただいていることに感銘を受けました。是非このまま続けてくださいますようお願い申し上げます。

 

 

■議題3.グローバル化への対応

 

池中一裕副理事長より,議題3について以下の通り発言された。

以前から英語化の問題がある。日本神経科学学会やISNAPSNとの合同大会は英語での開催となるが,単独での開催のときはどうするべきか。国際神経化学会やアジア太平洋神経化学会などとの現状もあるが,今のところグローバル化や英語化に関しては,一時期大きく英語で行なうことで舵をきったが,日本神経科学学会との合同大会,APSNISNとの合同大会を除いた時,本学会単独で今回のように開催する時はどうあるべきかについて,もう一度考え直す時期がきているのではないか。どのように思われるか。

 

遠山正彌氏より,以下の通り意見された。

私が議長を行なった時,国際化の問題がかなり前に出て,ずいぶん国際化について話しをした。それからかなりの年月が経ったが,本学会の現状をみていると我々が行なうことは自分たちの足腰をもっと強くするということが極めて大事ではないか。すなわち,何人かの方が言われたように,ディスカッションを深めて,よい発表をして,そしてある程度次の課題を持って帰っていけるような学会であることが大事ではないか。その後に英語がついてくるし,グローバル化がついてくる。よって,3年に1回の合同大会の時は英語でよいのかもしれないが,本学会の特徴を失わない形でグローバル化を考えていただきたい。

 

田代朋子氏より,以下の通り意見された。

特に思うのは英語化というのは外国の人と対等にやらないとおけないと思いがちだが,言いたいことがあれば下手でも伝わるのではないか。

 

池中一裕副理事長より,以下の通り意見された。

様々な意見が出て問題の大きさが浮かび上がってきたように思う。グローバル化については,決めたからといってずっと続けなければならないわけではない。英語をずっと行なってきたことで学生会員の英語に対する能力は上がってきている。しかし,それが本当のニューロケミストリーを知るというところで障害になっているのであれば英語化は進めなくてもよいだろう。しかし,論文は英語で書くので英語化をまったくしない訳にもいかない。よって,この接点をどのくらいの所に置くかについては,その場その場にいる方をみながら行なっていかなければならないのではないか。

 

井上和秀理事長より,以下の通り意見された。

皆さんの本音を聴けて感銘を受けた。今回参加されている方々がいてくださるうちは本学会は大丈夫だろう。今後はシンポジウムなり,皆さん自らで大会のプログラムを作っていただいたい。日本語でのロジックがしっかりとできていれば,英語でも言いたいことは伝わるはず。皆さんが自らしっかりと行なってくだされば,本学会の抱えている様々な問題も自然にクリアしていくだろう。今回は皆さまの話を聴くことができシニアの先生方も大変満足されたことと思います。ありがとうございました。

 

以 上