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議事録

2012年度(平成24年度)評議員会議事録

日本神経化学会

2012年度評議員会議事録

 

日  時:2012101日(月) 12:0012:30

会  場:神戸国際会議場 メインホール

出  席:出席57名,委任状86名(評議員総数230名,定足数46名)

議  長:井上 和秀 理事長(欠席)

進  行:池中 一裕 副理事長

議  題:1.若手育成セミナーについて

     2.国際神経化学会(International Society for Neurochemistry: ISN)及び

       アジア太平洋神経化学会(Asia-PacificSociety for Neurochemistry: APSN)との関係について

 

議事に先立ち,池中一裕副理事長より井上和秀理事長欠席の為,池中一裕副理事長が進行及び議長代行を務める旨報告された。


■議題1


池中一裕副理事長より,議題について以下の通り発言された。


今回で第5回目となる若手育成セミナー(以下,「セミナー」という)は,現在当会において非常に注力しているイベントとなっており,おかげさまで今まで参加した若い研究者達も着実に育ちつつあるが,セミナー開催費用に関して言えば実際かなりかかってしまっているのが現状である。そこで,この費用対効果の査定をする意味も含め,今後どの様にこの若手育成セミナーを運営していくべきか,現状のままでよいのか等をこの場で議論していただきたい。


池中一裕副理事長より,小泉修一将来計画委員会委員長が指名を受け,まずセミナーの現状とその予算について以下のとおり報告された。


現在,当会将来計画委員会委員長を務めており,またセミナー第1回にて講師を務め,それからもセミナー企画・運営に携わっている立場から,セミナーの現状について昨年までのデータ解析した資料を基にレビューしたい。

2008年開催第51回日本神経化学会富山大会に102名の参加者を迎えて第1回をスタートし,その後,伊香保大会,神戸大会,石川大会,そして今回の大会では50数名の参加者がおり,延べ400名弱の若手会員がセミナーへ参加している。またセミナーの目的は,若手の教育も兼ねているが,若手の当会入会者が増えることにより当会が活性化されるであろうという点であった。そして,講師陣については初期の頃は謝礼金があったものの,現在はボランティアにて参加してもらっている。

昨年までのセミナーのデータを解析した中で,いくつか特徴的なことを述べたい。セミナーへは一度きりしか参加しない会員もいるが,その面白さを理解し何度も回を重ねて参加している会員もおり,今回も含め5回全部のセミナーに参加している会員が一人いた。   

また,会員歴など考慮すべきところだが,まずセミナーに参加した会員達が当会会員として定着するかという点にも注目した。例年,数10人から100名の方が退会されるが,その中で,セミナーへ参加するために当会へ入会した人に限っては,退会率が0.9%,実際過去4年間に1名しか退会しておらず,セミナーに参加すると神経化学の面白さがわかり,「セミナー刷り込み現象」ならずとも,セミナーは参加者達へなんらかの形で当会へも良い影響を与えているのではないかと思われる。

セミナーの費用としては毎年当会より50万円支出しているが,実際はその倍ほどかかっている。毎年開催する際に,どの位の規模(場所)で行うか,どの位の参加者を集めるか,またどの位の広告費が集まるか等により支出額も違ってくるものの,おおよそ毎年当会から支出する50万円のほぼ倍ほどかかってしまうのが現状である。

セミナーのスケジュールは,毎年当会大会と同時期に開催しているため,その年の大会長により多少違うのだが,例年大会初日夜に集合し各グループ講師2名,参加者10名程に分かれ,夕食時に自己紹介しお互いの顔と名前を覚える。その後に1名の講師の口演があり,それに対してのディスカッションを行う。それから,セミナーにおいて重要視しているフリーディスカッションとなり,これには講師以外の先生方にも飛び入り参加いただきみんなで自由に多いに語り合うということが2晩続く,という内容になっている。


池中一裕副理事長より,小泉修一将来計画委員会委員長の報告を踏まえ,以下の発言がなされた。


会員の皆様はご存知のとおり,当会の予算はかなり厳しい状態であるため,そういう財政状態の中このセミナーへ支出するということはどうだろうか,また,講師陣への負担の比重も考えるとそれを強いてまで続行していくのが得策であるかどうか等,率直な意見を述べていただきたい。


池中一裕副理事長より指名され,橋本亮太氏より,以下のとおり意見された。


第1回目からセミナーへ携わっているため,セミナーに対しては非常にサポーティブな意見しか述べられないかもしれないが,セミナーではもともと神経化学の楽しさを共有することや他のラボの先生方との交流,学生同士のネットワーク作り等のいろいろな場面を学会が提供し,また育てており,非常に効果的に働いているのではないかと自負している。    

しかしながら,費用については大きな問題であり,財政が厳しい時にセミナーの費用を増やすか減らすかを考えるよりも,まずセミナー以外の部分で何を減らすべきか,その上でセミナーの運営費を増やすことができるかという点について議論していただけたらと思う。


池中一裕副理事長より,セミナーへ参加されていない方より意見が伺えないかとの次第により,柳澤勝彦理事が指名され,以下のとおり意見された。


過去に3,4度お声をかけてもらうも機会が合わずご協力できずにいて大変申し訳ないと思う。しかしながら最近強く思うことは,学会というのは間違いなく次の世代の教育のためにあるのではないだろうかとうことである。私事だが他学会にて2年前に大会長を務めた際に余剰金がでたため,その余剰金にて翌年から2年間に渡り学会メンバー問わず次代の研究者向けセミナーを行ったところ盛況となり,それ以降その学会も活気づいてきたという経験がある。従って,当会も財政状況が苦しいとしてもこれは続けていくべきことである。そして,自分もチャンスがあれば今後はぜひ協力させていただきたい。


池中副理事長より,現状のセミナーをより良くするために具体的な意見を出してほしいと和田圭司理事が指名され,以下のとおり意見された。


私もセミナーへは初期の頃から携わっているためポジティブな意見となるやもしれないが,一番問題なのはコスト面である。そのコストの中で何が一番にかかるかというと,  旅費,宿泊代をこちらが負担しているという点である。今までは,毎年の大会長や大会長より指名されたセミナー担当者の努力により,なんとか不足の費用を補っているが,本セミナーは既に5年の実績もあり,またポジティブな意見も多いため,そろそろきちんと  学会がセミナーをサポートできるような体制を整えるべきである。


池中一裕副理事長より,セミナーに対しもう少し批判的な意見や,変えた方がいいところ等ご指摘がないかと会場を促すも,会場からは特段の意見がみられなかったため,以下のとおりまとめられた。


評議員会としては,セミナーは予算的には非常には厳しいが可能な限りは継続し,できるだけ理事会にてその内容を把握し恒常的に運営していけるよう委員会の設置等を検討するというサポーティブな意見であるとして良いか,良ければ拍手していただきたい。


会場より賛同の意の拍手がなされた。


 

ありがとうございました。では,セミナーは順調に成長しており,今後も継続して行い,若手を教育していくということを皆様の総意とし,理事会に持ち帰りたいと思う。


■議題2


池中一裕副理事長より,議題について以下の通り発言された。


国際神経化学会(International Society for Neurochemistry: ISN,以下「ISN」と呼ぶ)とアジア太平洋神経化学会(Asia-Pacific Society for Neurochemistry: APSN,以下「APSN」と呼ぶ),そして日本神経化学会(Japanese Society for Neurochemistry: JSN,以下「JSN」と呼ぶ)との関係性に新たな方向がみえてきている。

ISNでは現在,ISNのsister societyであるAPSNやヨーロッパ神経化学会(European Society for Neurochemistry: ESN,以下「ESN」と呼ぶ)へ入会すると,ISNへ登録する必要はあるが会費免除にて入会できる,というオファーをしている。また,ISNはJSNに対しても同様のオファーをする可能性がある。しかしこの場合,INSへ登録する必要はあるもののJSNの会員は希望すればISNの会員に会費免除にてなれるとなると,あえて会費を払ってまでAPSNの会員になろうとする人が減るのではないか,ひいてはAPSNの収入減につながるのではないかということが懸念される。この三竦みの関係は,どこかを良くしようとするとどこかに歪みが生じるという難しい関係だと言わざるを得ない。しかしながら,現状では,JSN,ISN,APSN,いずれへ入会するにもそれぞれに年会費を支払わなければならず,神経化学会の人間はみな苦労している状況である。それをなんとかして解消したいと思っているので,本日は皆様のご意見を伺いたい。


池中一裕副理事長より,木山博資理事が指名され,以下のとおり意見された。


JSN自体も会費の値上げをできるような状況ではないので,これは大変難しい問題である。JSN,ISN,APSNそれぞれに会費を払うのは実際好ましくなく,現在の会費でJSNへ入会するとISNへも自動的に入会できるようになるのであれば,それは良いことだと思う。

私自身は現在,ISNには入っているがAPSNには入っていない。というのも,JSNとISNに会費を払う分にはさほど負担は感じていないが,そこへAPSNへの入会も促されると,  そこにどれだけのメリットがあるかと悩むのである。ISNでは諸々の申請が可能となるため入会するメリットは大きいが,残念ながら,正直なところAPSNへ入会するメリットがさほど思いつかないのが現状である。

私が理想的だと思うのは,日本神経科学学会へ入会すれば値上げ無しに,国際脳研究機構(International Brain Research Organization:IBRO,以下「IBRO」と呼ぶ)へも自動的に入会できるという仕組みである。そういう仕組みを考えていただければと思う。


白尾智明国際対応委員会委員長より,以下のとおり意見された。


JSNとISNの関係については先ほど初めて聞いたが,先日ISNの理事会へ参加した時にマイナーな意見があったのでご紹介する。それは南米等の理事から,アメリカ神経化学会(American Society for Neurochemistry: ASN)へ入会するとISNへ自動的に入会となるということを検討した際に「ブラジルではいったいどのくらいのメンバーがISNに入っていると思うか」と,暗にこのままINSへ集約されることになれば,まるで南米が北米に支配されていくようだという感覚なのか,反対するような意見を述べていた。したがって,これはAPSNの問題とするだけではなく,全体で考えなければいけないと思う。


池中副理事長より,会場にいる評議員のうちどの位の人数がISNかAPSNへ入会しているか,挙手にて確認をとったところ,ほとんどの評議員が挙手をした。これにより,池中副理事長より,以下のとおりの発言がなされた。


JSN,ISN,APSNの3会全部に所属している人は少ないと思うが,かなりの方がISN,APSNへ入会されている。となると,年会費が安くなるという仕組みは前向きに受け止めていただけそうである。まず,ISNとの話し合いの際に選択肢があると思われる。ひとつはJSNの会員になったら自動的に年会費免除にてISNの会員になれる。もうひとつは,JSNの会員になったら希望すれば年会費免除にてISNの会員になれる。さらにもうひとつは,現状と同じにそれぞれに会費を払う。本日午後予定されている,当会国際対応委員会へ皆様の意見を持ち帰りたいので,よくご検討いただきたい。


池中一裕副理事長により澤本和延氏が指名され,以下のとおり意見された。


私自身は現在JSNのみの会員であり、まだISNやAPSNには入会していないので,これらの国際学会には参加したことがない。自動的であれ希望した会員のみであれ,JSNへ入会すれば会費が免除になってISNへ入会できるようになれば,ISNの活動に参加するJSNメンバーが増加することになるので良いことだと思う。


池中一裕副理事長より,以下のとおりISNのポリシー変更について補足説明がされた。


ISNからの援助を受けるTravel award等は,今後ISNの会員でないと申請できなくなる。

ただ,ISNでは初年度の年会費が免除であるため,援助申請を受けるために入会し,メリットを受けた後は辞めるということも可能かもしれないが。


 

白尾智明国際対応委員会委員長より,以下のとおり意見された。


ISNのそのポリシー変更については最終的にはまだ承認されていないと思うが,問題は,ISNは会員数が少なく現在会費を払っているのは645名余ほどだが資産は10億円あるため,北米神経科学学会(Society for Neuroscience: SfN)とIBROとヨーロッパ神経科学学会連合(Federation of European Nueroscineces: FENs)が世界的ネットワークを作ろうとしている時にISNとしてはどうしても影響力を残したいがために会員数を増やしたいという点で,いろいろ方策しているのである。JSN側の立場としては,JSNは独立しそういう状況のISNをどのように利用しようか,もしくはかかわっていこうか,という風に考えるべきではないか。このまま会員数をただ増やしたいというISNの思惑に追随して良いのか,もう少し考えるべきだと個人的には思う。


池中一裕副理事長により,野村靖幸監事が指名され,以下のとおり意見された。


手続き上は複雑にならない範囲で,JSNへ入会し,自分の意思にてISNへも入会できるという仕組みは進めるべきだと思う。やはり本人の意思でISN入会を選択するということは,国際学会でも活動できるという意識を高く持てることにつながるので大変良いことだと思う。但し,JSNへ入会すれば自動的にISNへも入会できるというのは無責任でよくない。


池中一裕副理事長により,今までの意見を踏まえ,JSNとISNの関係性として,1) JSNの会員になったら自動的に年会費免除にてISNの会員になれる,2) JSNの会員になったら希望すれば年会費免除にてISNの会員になれる,3) 現状と同じにそれぞれに会費を払う,以上の中からどの方針が良いか挙手にて決をとることとした。すると,「自動的にIPS会員になれる」では14,5名の挙手があったが,「希望すればIPS会員になれる」では圧倒的に大多数の出席者が挙手したため,3)の挙手をとらずに2)をJSNの意見とすることとした。


池中一裕副理事長より,後数分ほど時間が残っているので議題以外にでも他に何か意見があるかどうか会場へ促したところ,特になかったため,評議員会は以上にて閉会となった。


以 上