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議事録

2017年度(平成29年度)評議員会議事録
日本神経化学会
2017年度評議員会議事録

日  時:2017年9月8日(金)12:10 ~ 12:50
会  場:仙台国際センターA会場1階(大ホール) 
出  席:出席 52名,委任状 80名(評議員総数258名,定足数51名)
議  長:和田圭司 理事長
進  行:島田昌一 副理事長
議  題:「学会の活性化 -新設委員会に期待する役割-(連合大会・多分野交流委員会,臨床連携委員会,ブランディング委員会)」

議事に先立ち,和田圭司理事長より今期理事長就任のご挨拶があったのち,本会の議題について以下の通り説明があった。

これから取り組む事案として「学会財政の健全化」、「理事会、委員会活動の透明性強化、情報共有」、「会員満足度の向上と学会のブランド化」を考えているが、本会では「会員満足度の向上と学会のブランド化」について討論したい。「会員満足度の向上と学会のブランド化」を具現化する為に,まずその原動力となるよう,今年度より既存の連合大会委員会を新たに連合大会・多分野交流委員会とし,また新たに臨床連携委員会,並びにブランディング委員会を設けた。

引き続き,上記3つの委員会について以下の通り紹介した。

・連合大会・多分野交流委員会・・・木山博資委員長
近隣の領域のみならず,少し離れた分野との交流により新たな情報や刺激となる情報を会員へ発信、或いは提供する。たとえば、「情報学、インフォマティクス」という言葉があるが、本学会が発展する為の戦略・戦術のひとつとして重要なキーワードになると考える。
・臨床連携委員会・・・望月秀樹委員長
 本学会では,従来に比べ特に神経内科,脳外科医の会員数が減少している。その為,精神科の先生方も含め、臨床に携わる会員数の増加と交流を図る。
・ブランディング委員会・・・今泉和則委員長
 本学会が世の中に広く認識され、良い評価を受ける学会となるよう,その為の方法を考案し実現させていく。会員だけでなく社会にも開かれた学会となることをめざす。


島田昌一副理事長より,上記各委員長が指名され各委員会の抱負または課題,近々開催した委員会報告等について,以下の通り述べた。

木山博資連合大会・多分野交流委員長
本委員会では,従来の近縁領域学会との連合や連携大会を準備する活動に加え,和田圭司理事長の発案により,今年度から少し離れた分野の動向や情報について会員へ積極的に提供する場等を検討,発案していきたいと考える。その一案として,早速今大会会期中に最初の本委員会企画となるシンポジウムを以下の通り開催する。

日  程:2017年9月9日(金)13:10~14:10
会  場:仙台国際センター 3階 D会場
タイトル:神経伝達物質受容体の生理機能解明に迫るケミカルバイオロジー新技術
シンポジスト:清中茂樹 先生(京都大学)

小野賢二郎臨床連携委員(望月秀樹臨床連携委員長代理)
本委員会では,本学会内での臨床フィールドを広げるべく,神経内科医や脳外科医,そして精神科医等の臨床医を増やすことを目的とする。今後はまず臨床医会員の委員を増員し,臨床医が興味を持つ,あるいは積極的に本学会大会へ参加したくなるようなアイディア,例えば症例ベースの検討会を企画する等提案していきたい。また,神経系,精神系,病理系学会等との合同シンポジウム等も検討したい。

今泉和則ブランディング委員長
本委員会は,本学会のバリューを的確に把握し,会員のみならず世の中に本学会を広く認識してもらうための提案を行う,いわば本学会のシンクタンク的な役割を担っている。まずは,本学会の広報力の向上,外部へのアピール方法,そして本学会内において準スター研究者(若手スター研究者)の育成等に取り組みたいと考えている。また,連合大会・多分野交流委員会や臨床連携委員会とも協力していきたい。

上記発言より「広報力の向上」という点を挙げ,島田昌一副理事長より,澤本和延出版・広報委員会委員長兼ブランディング委員が指名され,意見を求められた。

出版・広報委員会の現状の活動では,主に機関誌発刊・ホームページ運営・メール配信等を行っている。その中で,先日の理事会で機関誌がオープンアクセスのオンラインジャーナルとなることが承認されたことから,本学会のブランディング力を上げる手段として冊子体の時には会員のみと限定していた執筆を,オンライジャーナル後には多彩な分野または非会員も含めた異なる分野の特集や企画等を掲載し,購読層を増やすことが可能となると考える。また大会時においては,会期に先立ちいくつかの演題をプレスリリースすることも検討したい。

今泉和則ブランディング委員長より,上記発言に関し大会時のプレスリリースについて,以下の通り補足があった。

本学会大会時のプレスリリース対応については,例年大会長マターとしている。そして,近年の大会においてプレスリリースを実施したのは2013年度第56回大会となり,その後の大会ではプレスリリースを行っていない。なお,プレスリリースについては各大学で実施しているが,それはインプレスやパブリッシュされたものであることから,これからパブリッシュされる可能性のある発表内容について,大会前に積極的にプレスリリースすることは価値のあることと考える。

更に,今泉和則ブランディング委員長より,本学会のブランディング対策とともに臨床医会員拡充の一環ともなる新たな取り組みとして「基礎と臨床のブリッジングシステム」について提案があった。
島田昌一副理事長より,同システムの提案者である工藤喬ブランディング委員兼臨床連携委員が指名され,同システムについての説明を求めた。

「基礎と臨床のブリッジングシステム」は,基礎データの収集が難しい臨床医と臨床データ入手が難しい基礎研究者のマッチング,或いは積極的な基礎と臨床の連携を図る為に,本学会がモレキュラーベースで共同研究を推進していくという内容である。なお,このシステムにより埋もれているかもしれない研究を掘り出すことや,若い臨床医を本学会へ取り込むこと等が可能ではないかと考える。

島田昌一副理事長より,上記提案に対し,早期実現に向けた仕組み等について各関係委員会内でよく検討するよう奨励した。

引き続き,島田昌一副理事長より議場へ意見を求めたところ,白尾智明評議員より,学会のブランディンについて,以下の通り発言があった。

本学会のブランディングということで,前述の広報を通し本学会の潜在能力を示すということや臨床医の会員を増やすことも重要ではあるが,今年本学会は60年周年を迎えることから,この60年の歴史の中で脈々と伝えられてきた伝統も本学会のブランドと言える。その為,この60年を振り返り,その間に起きた様々な歴史的な出来事から世の中に一番認識されるものを見つけ,それを世の中へ広めていくこともブランディングとなると考える。例えば,現在で当たり前と考えられている本学会歴史の中の大きな発見や学問の大系等,何か具体的なものを取り上げることを提案する。

島田昌一副理事長より,上記提案を受け,本学会60年の歴史を踏まえた観点から御子柴克彦,熊倉鴻之助両監事へ助言を求めた。
最初に御子柴克彦監事から,以下の通り意見を述べた。

今や当然の事実も,60年前当時の研究では不確かだったことがたくさんある。そう考えると,60年の時を経て大きな研究の流れができたといっても過言ではない。それは,本学会が60年を迎える間に様々なコアができ,60年の時をかけて現在にその結晶体が出来上がったようなものと捉えると感慨深い。次の60年へ向けて,我々は現状をあるがままに受け入れるのではなく,これまでの60年の歴史と自分の足元を謙虚に照らし合わせると,そこかしこに隠れているかもしれない,この先60年後には当然と成り得る発見の,大きな可能性やヒントがみつかるかもしれない。こうやって個人の研究の中に,必ずあるターニングポイントを見つけることが大事である。

続いて熊倉鴻之助監事が,以下の通り意見を述べた。

大会に参加すると,最近の若い研究者の目覚ましい発展ぶりに驚くとともに,その裏では研究環境も飛躍的に進歩しているのであろうと容易に推測できる。しかし,現在の若い研究者が当然と考えている研究の礎は,先人の発見から成り立っているのである。その為,その先人がどうやってそれを発見してきたかのか,この60年の歴史を振り返るとともに先人の発見を記録することも大事である。また,研究の成果については研究者自身が認めるだけでなく,他者にも認められる為にはどうやって外に開示していくか,ということを模索することもブランディングに繋がると考える。

両監事からの貴重なご助言に対し,島田昌一副理事が謝辞を述べた。また,島田昌一副理事より,60年の歴史を振り返る中から各自の研究や本学会のブランディングに繋がるヒントを見つけられるよう、この歴史を多いに活かしていきたいとした。

更に,今泉和則ブランディング委員長より,以下の通り意見があった。

本学会以外に日本細胞生物学会,日本生化学会でも活躍している西頭英紀委員より,外から本学会を俯瞰すると「日本神経化学会は疾患をベースに研究する学会」という印象があるとの指摘を受けたが,最近はその傾向が薄れている点が否めない為,本学会の伝統である疾患研究を進めてその成果をアピールするという点を特徴づけたい。

島田昌一副理事長より,本会終了後も本議題についての意見または要望を求めるとし,何かある際には各委員会や理事会へ申し出るよう議場へ促した。

最後に和田圭司理事長より,これまでのご提案並びにご意見に対し謝辞を述べるとともに,今後も本学会の若手研究者を大事に育成するためにも,議場に本学会活動への変わらぬ支援を求めた。

以上をもって,2017年度評議員会は閉会となった。