TOP神経標本技術フォーラム
 
神経標本技術フォーラム
7月6日(木) 13:35-13:50 ポスター会場②
1P⑭-1
ウェブサイトの運営による標本作製技術の標準化
Standardization of the neurohistological methods through a website

小島 利香1, 植木 信子2, 八木 朋子2, 新井 信隆1, 関 絵里香1, 長谷川 成人1
1. 東京都医学総合研究所 神経病理解析室, 2. 東京都医学総合研究所 デザイン・イラスト制作支援室
Rika Kojima1, Nobuko Ueki2, Tomoko Yagi2, Nobutaka Arai1, Erika Seki1, Masato Hasegawa1
1. Lab. of Neuropathol., Tokyo Metro. Institute of Medical Science,Tokyo,Japan, 2. Design/illustration support room., Tokyo Metro. Institute of Medical Science,Tokyo,Japan

【目的】病理診断は標本の質によって大きく左右される。しかし、施設によって標本の質には差があり、施設間の標本の質のばらつきによって病理診断の格差につながっている。この問題を解決するために、他施設との標本作製に関する知識と技術の共有、すなわち標本作製技術の標準化を目指すことにした。【方法】標本作製技術の標準化を目指し、標本作製に関する知識と技術を「組織標本作製メソッド」(https://pathologycenter.jp/method/)で発信してきた。「組織標本作製メソッド」では、ブロック作製や染色のノウハウを公開している。標準化を推進するため、標本作製に関する知識と技術をより正確に理解できるように「組織標本作製メソッド」の改良を行った。【結果】従来は染色行程や染色結果、病理所見について動画や写真を使って解説してきた。今回は染色法ページの一部にバーチャルスライド画像を搭載した。バーチャルスライド画像を搭載したことにより組織を低倍率から高倍率まで観察できるようになった。また、バーチャルスライドにはアノテーションをつけることで標本のどこを観察すれば良いのか迷わないよう工夫した。その結果、観察すべき部位がわかりやすく表示できるようになった。【考察】バーチャルスライド画像搭載とアノテーションにより、染まるべき構造をよりわかりやすく提示できるようになった。これらの工夫により、「組織標本作製メソッド」が標本作製技術の標準化推進に寄与すると期待される。
7月6日(木) 13:35-13:50 ポスター会場②
1P⑭-2
ウェルケ髄鞘染色法のパラフィン切片への応用      ークリュバ・バレラー(KB)染色との比較―
Application of Woelcke myelin staining to paraffin sections -Comparison with Kluver-Barrera (KB) method-

羽賀 千恵1, 原 弘也1, 金井 由美子1, 多田 美紀子1, 関 絵里香2, 小島 利香2, 池田 研二2,3, 秋山 治彦1,3
1. 横浜市立脳卒中・神経脊椎センター 検査部病理, 2. 東京都医学総合研究所 神経病理解析室, 3. 東京都医学総合研究所 認知症プロジェクト
Chie Haga1, Hiroya Hara1, Yumiko Kanai1, Mikiko Tada1, Erika Seki2, Rika Kojima2, kenji Ikeda2,3, Haruhiko Akiyama1,3
1. Dept. of Clinical Laboratory Yokohama Brain and Spine Center,yokohama,Kanagawa, 2. Laboratory of Neuropathology Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science, Japan, 3. Dementia Research Project Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science, Japan

"【目的】古典的な髄鞘染色法であるウエルケ髄鞘染色法は凍結試料での染色法であるが、改良を行ない   パラフィン切片に応用し、一般的な髄鞘染色であるKB染色と比較した。【方法】ウェルケ原法を改良し、15症例の各種疾患剖検脳パラフィン包埋切片(9μm)を以下の方法で   染色した。同じくKB染色もおこなった。 染色法 1.脱パラフィン後、流水水洗をして精製水を通す 2. 2.5%鉄ミョウバン水溶液にて反応 (2 - 4時間) 3. 精製水で軽く水洗 4.ウェルケ・ハイデンハイン液で反応させる (約1 - 1時間15分)    ウェルケ・ハイデンハイン液の作製 (必要量をそのつど作製する)     約 100mlの染色液を調整する場合       5%ヘマトキシリン純アルコール溶液 10ml        精製水               90ml           飽和炭酸リチウム溶液 5ml                        計   105ml   5.流水水洗で約10分 ほど水洗する   6.精製水を通し0.5%クレシルバイオレット水溶液(EM社製)に10分間反応   7.95%アルコールで分別、脱水、透徹、封入【結果】染色性はK-B染色と比較して遜色がなく、鮮明であった。利点としてKB染色で必要な分別が  不要で手技が容易であった。染色が1日で可能であり染色に要する時間が短縮された。【結論】古典的なウェルケ染色のパラフィン切片への応用は、染色手技も簡便でありルーチンの髄鞘  染色法として有用である。"
7月6日(木) 13:35-13:50 ポスター会場②
1P⑭-3
ヘマトキシリン染色液の状態とHE染色標本の見え方
Differences in the appearance of neurons depending on the condition of the hematoxylin staining solution

関 絵里香, 小島 利香
東京都医学総合研究所 神経病理解析室
Erika Seki, Rika Kojima
Lab of Neuropathol., Tokyo met. Inst. of medical science, Tokyo, Japan

【目的】ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色は核をヘマトキシリンで青く、その他の成分をエオジンでピンク色に染める染色法である。HE染色で正常および病理構造を検出するためには、青色とピンク色のコントラストが明瞭であることが肝心となる。ところが、ヘマトキシリン染色液の状態によって、青色がはっきりしない場合がある。そこで、ヘマトキシリン染色液の状態によって染色像がどのように変化するのか見ることにした。
【方法】アルツハイマー型認知症および脳梗塞の剖検例を用いた。10%中性緩衝ホルマリン固定、パラフィン包埋脳切片を、10μmに薄切しHE染色した。ヘマトキシリン染色液はCarazzi、Mayer, 1年前に作製したMayerの3種類を用いた。Carazziの場合、10分間染色、1%HCl/70% EtOHで分別、10分間水洗した。Mayerの場合、4分間染色し15分間水洗した。水洗後、エオジン染色液で2分間染色し分別、脱水、透徹、封入した。
【結果】アルツハイマー型認知症・海馬で神経原線維変化および平野小体を検出した。また、脳梗塞症例・大脳皮質で神経細胞の虚血性変化を検出した。古い染色液は核の色が赤みを帯びて、エオジンのピンク色とのコントラストがはっきりしない染色像が得られた。新しい染色液は、CarazziとMayerの両者とも、青とピンクのコントラストの明瞭な染色像が得られた。その結果、新しい染色液は古い染色液よりも、病理構造物を明瞭に検出できた。
【考察】ヘマトキシリン染色液は時間の経過とともに酸化が進み染色性が落ちていくので、定期的に染色液を入れ換えて一定の染色性を維持する必要がある。