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学生ポスター
学生ポスター発表
7月6日(木) 13:20-13:45 ポスター会場②
1P⑨-1
大脳厚切り三重免疫染色で観察された軟膜細胞は脳表~皮質下で静脈周囲を覆っていた
Triple immunostaining of thick cerebral sections reveals a sheet of the pial cells around the cerebral venules.

関口 桃子1,2, 石井 湖真記2, 尾野 晏理2, 山田 哲夫2, 木下 真由美2, 北川 昌伸3, 内原 俊記4
1. 文京学院大学 臨床検査学科 (4年), 2. 文京学院大学 病理, 3. 新渡戸記念中野総合病院 病理診断科, 4. 新渡戸記念中野総合病院 脳神経研究室(新渡戸脳研)
Momoko Sekiguchi1,2, Komaki Ishii2, Anri Ono2, Tetsuo Yamada2, Mayumi Kinoshita2, Masanobu Kitagawa3, Toshiki Uchihara4
1. Clinical Laboratory Medicine, Bunkyo Gakuin University, Tokyo, Japan, 2. Pathology, Bunkyo Gakuin University, Tokyo, Japan, 3. Pathology, Nitobe Memorial Nakano General Hospital, Tokyo, Japan, 4. Neurology Clinic with Neuromorphomics Laboratory, Nitobe Memorial Nakano General Hospital, Tokyo, Japan

【背景と目的】 大脳静脈周囲の軟膜細胞は、定説では、脳表近くではシート状だが、深層に向かうに連れて途切れがちになり、やがて存在しなくなるとされてきた。しかしこの知見は、斜走する静脈の縦断面が厚さ 10 μm 未満の顕微鏡組織切片に部分的に含まれた像から得られたものであった。そこで本研究では、そもそも本数が少ない大脳の静脈をできるだけ長い縦断面として顕微鏡標本中に捉えられるように、厚さ 500 μm の脳切片を作り、次に 1) 観察対象である軟膜細胞; 2) 動脈と静脈を区別し、血管壁の中膜と外膜を識別するための基底膜; そして軟膜細胞の連続性の裏付けとして、3) 軟膜細胞のシートが区切る腔を進展するはずの病的細胞、を目標物として三重免疫染色を行い、大脳静脈周囲の軟膜細胞の多寡と広がりを明らかにすることを目的とした。
【対象と方法】 ホルマリン固定PEG包埋大脳組織から厚さ 500 μm の切片を作り、浮遊法で免疫染色を行った。軟膜細胞には抗IV型コラゲン、基底膜には抗ラミニンγ1、病的細胞の一例としてリンパ腫細胞には抗CD20を、一次抗体として用いた。背景組織は有機溶媒で屈折率をあわせて透明化した。
【結果】 抗原賦活条件、発色基質の組合せ・順序の検討を踏まえて厚切り三重免疫染色標本を作製し、その顕微鏡観察から、大脳の脳表~皮質下の静脈周囲に軟膜細胞が連続して存在することを明らかにした。
【結論】 脳表~皮質下の静脈も軟膜細胞に覆われていた。
7月6日(木) 13:20-13:45 ポスター会場②
1P⑨-2
Alzheimer病神経原線維変化はタウ・イソ型0N4Rで始まり2N3Rで終わる
Neurofibrillary change of Alzheimer disease begins by aggregation of tau isoform 0N4R and ends by that of 2N3R

海老原 楓恋1, 関根 正喜2,3, 山田 哲夫2, 尾野 晏理2, 藤井 毅2, 大橋 健一3
1. 文京学院大学 臨床検査学科 (4年), 2. 文京学院大学 病理, 3. 東京医科歯科大学病院 病理部
Karen Ebihara1, Masaki Sekine2,3, Tetsuo Yamada2, Anri Ono2, Tsuyoki Fujii2, Kenichi Ohashi3
1. Clinical Laboratory Medicine, Bunkyo Gakuin University, Tokyo, Japan, 2. Pathology, Bunkyo Gakuin University, Tokyo, Japan, 3. Dept of Pathology, TMDU Hospital, Tokyo, Japan

【背景】タウのアミノ末端域(N)は細胞膜や微小管に作用し、N数の違いはタウ凝集に影響する筈である。Alzheimer病(AD)の神経原性変化(NFT)は4Rタウで始まり3Rタウで終わることが知られているが、N数の違いを含めたイソ型は十分に調べられていない。
【目的】当研究室はタウ・イソ型6種を区別する5重免疫蛍光標識法を工夫してきた(外山ら, 第58回, 東京)。この手法をADのNFTに用いて、特にR数が一種に偏っているプレタングルとゴーストタングルについて、タウ・イソ型の組成を明らかにする。
【対象と方法】 1) AD剖検脳から得られた 6 μm 厚のホルマリン固定パラフィン包埋組織切片を、タウのN領域0N/1N/2NとR領域3R/4Rに対する特異抗体で5重免疫蛍光標識した。Zスライス(1 μm 間隔, 7面)も含めてBX63(Olympus)で高解像デジタル化し観察した。
【結果】 プレタングルはこれまでにも本会で報告したとおり、0N4Rを主体としていた。タングルは様々な複数のイソ型から構成されていた。ゴーストタングルは2N3Rを主体としていた。
7月6日(木) 13:20-13:45 ポスター会場②
1P⑨-3
筋緊張性ジストロフィの視床神経細胞封入体を構成する蛋白の検出
Thalamic inclusions of myotonic dystrophy: Narrowing down by IHC & double IF of candidate proteins obtained from LMD-MS

久保 日菜子1,2, 尾野 晏理2, 山田 哲夫2,3, 木下 真由美2,3, 明石 巧3, 大橋 健一3, 北川 昌伸4, 内原 俊記5
1. 文京学院大学 臨床検査学科 (4年), 2. 文京学院大学 病理, 3. 東京医科歯科大学(TMDU) 病理, 4. 新渡戸記念中野総合病院 病理診断科, 5. 新渡戸記念中野総合病院 脳神経研究室 (新渡戸脳研)
Hinako Kubo1,2, Anri Ono2, Tetsuo Yamada2,3, Mayumi Kinoshita2,3, Takumi Akashi3, Kenichi Ohashi3, Masanobu Kitagawa4, Toshiki Uchihara5
1. Clinical Laboratory Medicine, Bunkyo Gakuin University, Tokyo, Japan, 2. Pathology, Bunkyo Gakuin University, Tokyo, Japan, 3. Pathology, Tokyo Medical and Dental University, Tokyo, Japan, 4. Pathology, Nitobe Memorial Nakano General Hospital, Tokyo, Japan, 5. Neurology Clinic with Neuromorphomics Laboratory, Nitobe Memorial Nakano General Hospital, Tokyo, Japan

【背景】 視床神経細胞封入体(TI)は筋緊張性ジストロフィ(MyD)の10-35%(他疾患 <1%)に出現する長径 4-8 μm の楕円体形の好酸性小体である。TIは免疫染色で全体がUb強陽性、辺縁がMAP1, MAP2弱陽性との報告があるが、その構成蛋白はよく分かっていない。【目的】 TIをレーザーマイクロダイセクション(LMD)で多数採集し質量分析(MS)にかけ、リストアップされた候補蛋白を免疫染色・免疫蛍光で絞り、TI構成蛋白を新たに見出す。【対象】 MyD剖検例の視床のFFPE組織を厚さ 3 μm で薄切した。LMD-MSでの陰性対照には、同一部位のTIを伴わない神経細胞から同体積同数分の胞体を採集して用いた。【方法】 1) Bunina小体(外山ら, 第57回, 弘前)同様、LMDでTIと陰性対照を250個ずつ採集し、抽出した蛋白をトリプシン消化してMSを行い、データベースから候補蛋白を検索した。 2) 有望な候補蛋白質につき、MSで検出されたペプチドを免疫原としたウサギ抗体でTIを免疫染色した。 3) 免疫染色でTIに発現が窺われた候補蛋白につき、マウス抗Ubとの重なりを、二重免疫蛍光標識法で確認した。【結果】 1) LMD-MSから数十種のTI構成蛋白候補が検出された。Mascotスコアからは、SEPSECS, FSIP2, ZNF514, S100A8, MAGEF1及びSYCP1が有望であった。 2) 免疫染色で、MAGEF1はTIの全体に陽染した。
7月6日(木) 13:20-13:45 ポスター会場②
1P⑨-4
グリア系脳腫瘍の二重免疫染色
Double immunohistochemistry in gliomas

須藤 紗代1,2, 山田 哲夫2, 尾野 晏理2, 木下 真由美2
1. 文京学院大学 臨床検査学科 (4年), 2. 文京学院大学 病理
Sayo Sutoh1,2, Tetsuo Yamada2, Anri Ono2, Mayumi Kinoshita2
1. Clinical Laboratory Medicine, Bunkyo Gakuin University, Tokyo, Japan, 2. Pathology, Bunkyo Gakuin University, Tokyo, Japan

【背景と目的】 星細胞腫、乏突起膠腫、膠芽腫の診断には IDH1/2変異, 1p/19q共欠失が検索されるが、FISHやシークエンシングの前のスクリーニング検査として IDH1 や p53, ATRX の免疫染色 (免染) も行われている。スクリーニング検査はなるべく早く結果を出すことが求められる。また手術材料は検体がしばしば微小であり、免染の切片の枚数が少ない方が望ましい。さらにルーチン検査では作業量とコストも重要である。そこで IDH1, p53, ATRX のスクリーニング免染には、作業量が増す三重免染を切片一枚に行うより切片二枚に別の二重免染を行うのが良いと考え、由来動物種が異なる一次抗体の組合せに市販の二重免染キットを用いて迅速簡便に実施する方法を検討した。
【対象と方法】 星細胞・乏突起膠細胞系腫瘍と病理診断された手術材料からホルマリン固定パラフィン包埋組織切片を作製した。IDH変異を検索する一次抗体には抗IDH1-R132H (clone H09) の他、より広くIDH2の変異も捉えられる抗変異IDH1/2 (MsMab-1) を用いた。これらがマウス由来であることから、p53とATRXの変異の検出にはいずれもウサギに由来する抗p53 (GTX102965) と抗ATRX (HPA001906) を用いた。二重免染キットとして主に ImmPRESS Duet Polymer (HRP 抗マウス-DAB, AP 抗ウサギ-Vector Red) を使用した。
【結果と考察】 IDHは細胞質、p53とATRXは核に発現することから、IDH-p53およびIDH-ATRXを組合せた二重免染は視認性が良好であった。時間と手間が限られ、検体が微小な場合は、二重免染が有用である。さらに、抗体反応の温度を上げることで時間を短縮し、より迅速にスクリーニングできないか、追加の検討を予定している。