小泉 修一 2019/3-2021/3

理事長挨拶

 この度、和田圭司前理事長の後任として、伝統ある日本神経化学会の理事長を拝命いたしました山梨大学・医・薬理の小泉修一です。日本神経化学会は、「神経化学」を標榜する世界で最も古い学会として、発足当初から今日まで、世界の神経化学をリードしてきました。また基本理念として「化学物質・分子により脳の仕組み及び疾患のメカニズムを解き明かす」を掲げ、これもぶれることなく続いております。さらにこの理念実現のために、徹底した「深い議論」及び「若手育成」をポリシーとして活動を行って参りました。このように、これまでの会員の皆様、理事の先生方、委員長、委員を務められた先生方のおかげで、日本神経化学会は脳の研究領域のなかに一つの大きな流れを作ってきたと思います。私は、日本神経化学会に育てて頂いたと思っておりますし、本学会の基本理念に強く賛同しておりますので、これまでの大きな流れは今後も変えません。しかし、さらなる発展を目指して、変えるべき点は勇気をもって改革していこうと考えております。今期は「伝統の継承と改革」を旗印に、日本神経化学会を先導していく覚悟であります。ちょうど私の理事長就任時期が、平成が終わり新しい元号を迎える時期と重なりました。平成の総括などという大それたものではありませんが、昭和、平成を経て日本神経化学会が新しい時代に引き継ぐべきこと、改革すべきことを、新しい執行部、理事の先生方、委員会の先生方と、しっかり議論し、実行に移したいと思います。今季の執行部にはフレッシュな顔ぶれがそろいました。様々な改革のためにはベストなメンバーだと思います。私を含め経験不足の面は否定できませんが、幸い理事長経験者をはじめ、経験豊富な先生方が多数理事として残ってくださいました。フレッシュな力と経験とを融合させて、伝統ある日本神経化学会の新しい時代を築いていきたいと思います。

 和田前理事長は、学会の透明化、財政の健全化、学会のブランド化を大きな目標として、大きな成果をあげられました。例えば、「理事長だより」として頻繁な情報発信、大会中の理事長と直接お話ができる環境作り等々により、学会の透明化が大きく前進いたしました。これは、学会のブランド化にも大きく貢献いたしました。また大会プログラムに「若手道場」等を定着させる等により、「深い議論」及び「若手育成」で大きな面で大きな改革を成し遂げました。私も、和田前理事長の方針はしっかり「継承」いたします。そして、次へのさらなる発展を目指して、改革と途切れの無い活動を進めてまいります。

 具体的なお話は、和田前理事長から引き継ぎます「理事長だより」にて、随時発信して参ります。一点だけ「改革」について申しますと、日本神経化学会としての情報発信力をより強化したいと考えています。例えば、学会ホームページも充実してまいりましたが、まだサイエンスのポータルサイトとしての役割には至っておりません。コンテンツ、使いやすさ、さらに更新頻度・タイミング等が関係する大きな作業になりますが、勇気と情熱をもって改革していきたいと思います。また、私は自身の研究でイメージングに力を入れております。今更ですが、情報発信において、画像、さらには動画の影響力の大きさは計り知れません。質の高いイメージングからは想像以上の情報が得られます。新しいイメージングプローブは、サイエンスの新しい分野を切り開く力もあります。学会からの情報発信においても、イメージングを強く意識して、会員の皆様の情報が、また学会の情報が効果的に伝わるよう、またサイエンスのポータルサイトとしての役割を果たせるよう、強化していきたいと考えております。もちろん、情報発信だけでなく会員の皆様の情報・声が学会にきちんと届く仕組みも新たに構築します。

 これらの実施には、会員の皆様方の協力と、学会の財政安定化が必要となります。和田前理事長、馬場前財務担当理事、澤本前出版広報担当理事らを中心にした徹底した財政改革により、学会の財政は大きく安定しました。今後は、支出の抑制だけでなく、収入を増やす手立てを積極的に考えるときに来ていると思います。こちらについては、また別の機会に情報発信することにいたします。最初のご挨拶として、最後に申し上げたいことは、会員の皆様のための日本神経化学会であるということです。会員であることで、皆様に満足していただける、納得していただけるような、またそれが本学会にポジティブにフィードバックされるような、会員の皆様と学会とのwin-winの関係を築いていくことが、私の使命と考えております。色々とご協力をお願いすることもあります。しかしそれらがすべて皆様に還元されるように、全力で努めてまいります。会員の皆様からの、叱咤激励、ご指導、さらに皆様方の積極的なご協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。
 
2019年3月 
山梨大学大学院総合研究部
医学域・薬理学講座 教授
小泉 修一


 

理事長だより2019-2021

理事長だより No.12

2021年3月31日 16時11分
日本神経化学会
会員各位
 
 
本年の桜の開花は例年よりもだいぶ早く、私の大学周辺でも既に満開です。会員の皆様は、年度末及び新年度の処理・準備でお忙しい毎日を迎えられていると思います。新型コロナ感染症の動向も先が見えない状況が続いておりますが、来年度以降はもう少し落ち着いた日常が戻ることを切に願いたいと思います。
 
さて先日3月26日、2021年第一回日本神経化学会理事会が開催されました。先ずは、来期の新しい理事長として岡野栄之先生(慶應義塾大学医学部生理学)が選出されましたことをご報告致します。新しい体制も大方決まり、来年度以降、岡野先生を中心に様々な新しい仕組みや仕掛けが展開されると思います。会員の皆様も、どうぞ期待して頂ければと思います。また、本学会へのご協力及びご理解を、引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
 
さて、2年間の理事長を終えるにあたり、先ずは皆様のご協力及び叱咤激励に心からの感謝を申し上げたいと思います。本当に有り難うございました。以下に、ごく簡単ですが2年間の活動の所感と反省を述べたいと思います。
 
2019年3月、平成が終わる直前に理事長を拝命し、直ぐに時代は令和に変わりました。色々と改革を行うよいタイミングであり、また同時に本学会の長く素晴らし伝統を再確認する必要を強く感じ、「伝統の継承と改革」を掲げて活動を開始しました。
 
皆様ご存じのように、本学会は「化学物質・分子により脳・神経の仕組み、さらに疾患のメカニズムを解き明かす」ことでサイエンスと社会に貢献するとの理念を掲げています。当時としては非常に先進的であったと思います。またこの理念実現のために、徹底した「深い議論」及び「若手育成」をポリシーとして、他学会ではなかなか見られない「真に中身の濃い」学会での議論、若手育成活動が行われています。先ずはこの伝統を確実に継承すること、さらにより発展させる必要です。
 
そのためには、この素晴らしい伝統を会員、特に若手会員の皆様に知って頂き、神経化学会を本当に理解し、好きになって頂くこと、会員間の距離を縮めることが、遠回りのようですが最も効果的ではないかと考えました。そこで和田前理事長が開始された「理事長だより」を継続するとともに、「委員長だより」を新設し、委員会の情報や各委員長のお考え等を発信して頂きました。また「私と神経化学」というコーナーにより、OBの先生方からのご寄稿を掲載する企画を開始し、伝統を知ることに加え、若手研究者へのエールを沢山頂くことが出来ました。
私自身も「私と神経化学」の配信は大変楽しみで、いつもOBの先生方の文章に感動し、また多くを学ばせて頂きました。お忙しいところ貴重な原稿をご投稿頂きました先生方に、改めて感謝申し上げます。本企画が継続的となり、OBの先生方と会員、特に若手会委員の皆様との精神的な絆が深まり、研究のエッセンス、日本神経化学会の理念が継続的に伝承されることを期待しております。また情報を収集する手段として「目安箱」を設置いたしましたが、こちらはまだまだ使用される頻度が低く、何らかの改善が必要と思っております。
 
適切な情報発信と意見の収集は、長い目で見た際の学会活動に、非常に重要と思います。今期はその基盤が出来たと思っております。これを支えていただきました各委員会の先生方、特に竹林出版広報委員長及び山岸副委員長はじめ出版広報委員の先生方には本当に感謝いたします。
 
最も大きな改革は学会の法人化でした。2021年1月8日「一般社団法人日本神経化学会」としての登記を終え、今後は任意団体ではなく「一般社団法人」として活動することになります。これにより、本学会の信用がこれまで以上に高まり、より質の高い活動、重要度の高い活動を行うことが容易になることが期待出来ます。しかし理事長だより前号にも記載しました通り、完全な引っ越しにはもう少し時間がかかります。私の任期中に終了できなかったことは、大きな反省点であります。現在、次の総会までに法人化を終える計画で作業が進んでおります。
法人化完了までは、責任をもって法本作業を行う予定ですので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 
今期は、半分以上の期間でwithコロナでした。新型コロナとの戦いが学会活動にも大きく影響しましたが、会員の皆様のおかげで何とか乗り切れ、また逆に飛躍できた場面も多くありました。例えば、昨年秋の日本神経化学会大会は、63年間の大会の歴史のなかで初めてのweb開催となりました。大会長の馬場先生をはじめ委員の皆様の挑戦と努力で、webでも深い議論ができること、またwebでも若手育成セミナーが可能であること等々、大きな成果が得られた学会になったと思います。また他学会との連携も、withコロナ下でむしろ進んだと思っております。
コロナで後ろ向きになるのではなく、前向きに捉えて活動したこと、大変よかったと思っております。
 
翻って私自身ですが、色んな場面でコロナを言い訳にしていたこともありました。確かにこれまで経験したことが無い事態で、世の中が大きく変化する非常事態であった訳ですが、このような時だからこそもっと思い切った大きな改革が出来たのではないかと、今は反省しているところです。学会の魅力をもっと会員の皆様に伝えること、国の科学政策へ学会として関連する仕組み作り等々、改革が不十分でした。また、会員数が徐々に減少しておりますが、その対策が手薄になってしまったことも大きな反省点です。これらは一朝一夕には解決出来ない課題でありますが、来期も含め継続的な対応が必要と考えております。
 
以上雑駁な所感をつらつらと記載いたしましたが、今から60数年前に掲げられた本学会の先進的な理念を実現できる時代が、今まさにやってきていると思います。従って、日本神経化学会の未来は実はとても明るいと思います。今後とも、会員の皆様のご理解とご協力により、本学会がさらに魅力的な学会となること、さらに本学会の活動を通じて会員の皆様の研究、教育、診療活動が益々発展することを祈念したいと思います。
 
 
最後に、会員の皆様、執行部、理事、監事、委員長、委員の先生方、事務局の皆様のサポートのおかげで、なんとか今期の活動を行うことができました。改めて感謝申し上げます。本当に有り難うございました。
 
 
令和3年3月末日
 
小泉修一

理事長だより No.11

2021年2月9日 15時00分
日本神経化学会
会員各位


 2021年を迎え、早一ヶ月が経ちました。新型コロナ感染症が日本で大きな問題となって一年が経過しましたが、なかなか先が見えてまいりません。このような、不透明かつ不安定な状況にあっても、会員の皆様はそれぞれの立場で、日々奮闘し、活躍されていると思います。
 
さて今回は、2点お伝えしたいことがあります。
 
1. 日本神経化学会の法人化について

 昨年秋の総会で認めて頂きましたように、これまで任意団体として活動してきました日本神経化学会は、「一般社団法人日本神経化学会」に生まれ変わります。既に2021年1月8日(大安)に法人としての登記を済ませました。今後について簡単にお伝えいたします。
 上述のように登記は終わりましたが、新築の家に例えると、まだ建物が完成しただけ、という状態です。現在、会員は法人化に必要な最低限の4名しかおりません(尾藤副理事長、竹居庶務担当理事、遠山監事、と小泉)。今後、細則の設定等細々とした作業を行って、実際に住める状態にした後、皆様に新しい家「一般社団法人日本神経化学会」に引っ越ししていただく、という手順になります。
 しばらくは、任意団体及び一般社団法人の日本神経化学会が共存することになりますが、全員の引っ越しが終わり次第、これまでの旧日本神経化学会は解散することになります。引っ越しにあたり、会員の皆様には煩雑な手続き等が発生しないように進めていきますので、どうぞご安心下さい。詳しいスケジュールや様式が決まりましたら、またお知らせいたします。
 法人化の目的は、本学会の社会的信用力をこれまで以上に高めること、神経化学を通じた種々の活動をより行いやすくすることです。もちろん、これまでに築いてきた日本神経化学会の素晴らしい歴史と伝統はしっかり引き継ぎますので、これらは定款としてきっちり定めました。また変えるべきところはスピード感をもって改革したいと思いますので、これらは細則の中で柔軟に対応できる体制にしていきたいと考えています。新しい「一般社団法人日本神経化学会」、もうすぐです。どうぞご期待下さい。
 
2. 国際神経化学会について

 現在、国際神経化学会(ISN)の理事選挙が行われております。ISN理事選挙は、2段階構成になっており、既に第1段階選挙をクリアした和中先生がISN理事の最終候補者に残っています。和中先生は、これまで日本神経化学会はもとより、アジア太平洋地域神経化学会(APSN)の活動で多大な貢献をしてこられ、現在APSN理事長を務めています。また、2022年に延期になりましたがISN京都大会の日本側のホストも務められます。和中先生は、まさにISN理事に相応しい方と確信しております。
 日本神経化学会は、かつてISN設立に大きく貢献しましたし、またその後も常に協力し合って発展を遂げてきました。今後も、日本神経化学会の活動、特に国際的な活動では、ISNやAPSNとの良好な関係が必要です。和中先生にはISNで十二分にご活躍頂き、日本神経化学会との関係をより強固にしていただきたいと考えております。既に国際対応委員長・味岡先生からお知らせがありましたが、ISNにも入会されてISNと日本神経化学会の両方の会員資格をもつ会員の方々には、是非ともご協力を頂ければと思います。
 
 二月を迎え、厳しい寒さ、しぶとい新型コロナ、入試や学位審査等の年度末行事等々、難しい対応を迫られている毎日かと思います。会員の皆様にはどうぞ、ご自身の健康に充分留意されて、活動いただきますようお願いいたします。粛々と活動していれば、必ずや道は開かれると思います。
 
 
令和3年2月9日
理事長
小泉修一

理事長だより No.10

2020年9月3日 14時22分

日本神経化学会
会員各位



新型コロナ、梅雨と豪雨、酷暑と、自然に翻弄される日々が続いておりますが、会員の皆様は如何お過ごしでしょうか?
9月を迎え、いよいよ第63回日本神経化学会八王子大会「議論で深める神経化学」が迫って参りました。非常に難しい状況のなか、大会長の馬場広子先生を中心に、組織委員会、プログラム委員会の先生方が、斬新なアイデアと果敢な行動力で準備を進めてくださいました。今回の日本神経化学会大会はWeb開催として行われます。
Webでの開催も含め、これまで63回の本大会の歴史の中で「初めての・・・」というイベントや試みが目白押しです。色んなことにチャレンジしていただいています。発表される方はもちろん、そうでない方も是非ともこの「新しい日本神経化学会大会」に参加して、一緒に「議論を深めて」頂ければと思います。いつもとは一味も二味も違う神経化学が体験できると思います。
また今回は、若手育成セミナーも従来の合宿形式でなくWebによる「新しい若手育成セミナー」です。合宿による密なコミュニケーションはできないかもしれませんが、Web形式ならではの楽しみ方もあります。一味違う若手セミナーを経験し、新しい楽しみ方を発見していただければと思っております。
今回のコロナ禍で、世の中の様々な事が変化し、また変化を余儀なくされました。従って、大会の方法が変わるのもある意味自然かと思います。変化は時に大きな痛みや苦痛を伴いますが、うまく乗り越えると思いもよらない大きな発展に繋がると思います。今回の大会が契機となり、本会が皆様にとってより有益、刺激的かつ心地よい会になっていくことを願っております。ただし、日本神経化学会のモットーである「分子・物質で脳を解き明かす・治療する」「議論を尽くす」「若手を育成する」は、変えることなく継承していきたいと思っております。

前回の理事長だよりは、新型コロナ騒動に触れるのみになってしまいましたが、今回はこれまでの1年数ヶ月を振り返りながら、今後の日本神経化学会について述べたいと思います。



1 情報の発信・受信の強化

今期の目標の1つが、学会の情報をきちんと発信・受信する仕組みを構築することでした。受信につきましては、HP上に「目安箱」を作りました。少しずつご意見を頂けるようになりましたが、まだまだ十分には活用されていないように思います。どんなご意見・苦情でも結構ですので、自由にお寄せ頂ければと思います。

情報発信につきましては、第1弾としてHP上に「特別寄稿」のコーナーを作りました。これまで日本神経化学会は、若手研究者育成セミナー、道場等を介し、若手研究者の育成に力を入れてきました。これにより本当に実力のある若手が育ってきていると思います。一方で、これまで日本神経化学会を作り、発展させて下さった先生方と若手が交流する仕組みが十分でないと感じておりました。温故知新というわけではありませんが、伝統ある日本神経化学会の「これまで」を知ることは、「今後」の発展に大きなプラスになると考えております。
私自身、本学会に入会して今年で34年目になりますが、本学会の創世期の事、その当時の先生方のご活躍等々、知らないことが沢山あります。そこで、出版・広報委員会の皆さんのご尽力により「特別寄稿」のコーナーを作って頂き、「私と神経化学」と題してリレー形式でメッセージを頂くことに致しました。
既に、御子柴克彦先生、永津俊治先生、遠山正爾先生、井上和秀先生から、大変素晴らしいご寄稿を頂いています。先生方の文書は、単に昔の日本神経化学会の様子が記載されているわけではなく、各先生の研究者としての哲学や生き様が力強く記されており、大変読み応えのある文章です。会員の皆様、特に若い世代の皆様には、是非ともお読み頂ければ大きな勇気と希望、さらに今後の指針を頂けるかと思います。今後も、色々な先生方に原稿をご依頼することになるかと思います。どうぞ思いの丈を存分に語って頂ければ幸いです。
また、他にも特別寄稿として永津俊治先生から「永田豊先生のご逝去を悼んで」、平山友里先生から「吉田慶多朗君を偲んで」の文書も頂いております。こちらも是非ともお読み頂き、それぞれの先生に再度思いを寄せて頂ければと思います。

また第2弾として、同じくHP上に「委員長だより」を作りました。これまで学会の活動や方針等は、主に理事長だよりとして発信をして参りましたが、学会活動は各種委員会の献身的な活動により成り立っています。しかし、各委員会活動の実際は意外と知られていないと感じていましたので、各委員長にも「委員長だより」として情報発信をお願い致しました。
既に6つの委員会委員長からご寄稿をいただいています。各委員会の活動報告にとどまらず、各委員長のメッセージや哲学が記されている大変味わい深い文書ばかりであります。こちらも是非ともお読み頂ければと思います。これらの発信により、日本神経化学会を良く知っていただき、より身近に感じていただければと思います。


2 若手育成

将来計画委員会及び若手育成委員会を中心にした若手育成セミナー、道場等の若手神経化学者を育成する取り組みにより、神経化学会の若手が着実に育っているのを実感しております。また、本会を好きになってくださる若手も増えているように思っています。
例えば、若手セミナーで活躍され、2019年度日本神経化学会奨励賞を受賞された吉田慶多朗先生(慶應大・精神神経科学)が、第10回日本学術振興会育志賞を受賞されました。本学会推薦による受賞でありますので本当にうれしいニュースであり、3月の理事会ではモニター越しですが受賞式も行いました。しかし大変残念なことに、吉田先生は6月に急逝されてしまいました。言葉もありません(「特別寄稿」の平山先生の投稿をご覧ください)。

若手の皆さんの活躍をサポートすることは、本学会の大きな柱の一つです。今後も積極的に応援を継続していきます。新型コロナ禍で、研究が思うように出来なくて焦っている若い研究者の皆さんもいらっしゃると思います。若手同士で意見を交換したり、学会が出来ることを話し合う機会を作りたいと思っています。是非とも自由にご意見を頂ければと思います。また今期は将来計画委員会を中心に、PIになる前の若手研究者(準PI)のサポートの仕組みについても考えていただいています。こちらも新しい魅力的な仕組みが出来ると思います、ご期待下さい。



3 学会運営の健全化

コロナ騒動以来、理事会、各種委員会等はWeb会議で行われております。しかし、本会はすでに昨年夏の理事会で、学会運営の健全化の一つとしてWeb会議化の推進について議論し、昨年秋から執行部会や各委員会はWeb会議の試運転を行って参りました。昨年からの準備等があったために、今回、各種会議のWeb会議化は大変スムーズであったと思います。新型コロナ感染症が収束した後も、各種会議はWeb会議を基本にいたします。もちろん、大会が対面式で行われる場合、また対面式がよりふさわしいと判断された場合には、その限りではありません。柔軟に対応していく予定です。

新型コロナウィルスとの戦いは長期戦になりそうです。これまでの経験やアイデアが通用しないことも沢山でて参りました。ポストコロナ、ウィズコロナの学会運営に際し、是非とも皆様の斬新で画期的なアイデアを沢山お寄せいただきたいと思います。特に若い会員の皆様、経験等は関係ありません。柔らかい頭で考えた面白い提案を沢山頂けると嬉しいです。しかし先ずは、会員の皆様が無事にこの難局を乗り越えること、さらに本騒動が一日も早く収束することをお祈りしたいと思います。


令和2年9月3日
理事長
小泉修一


「委員長だより」: https://www.neurochemistry.jp/C_letter/

理事長だより No.9

2020年4月8日 15時48分
日本神経化学会
会員 各位
 
 
新型コロナウイルス感染拡大の中、いつもとは全く異なる新年度、2020年度が始まりました。新型コロナウイルスに罹患された皆様、関係者の皆様には心よりお見舞い申し上げます。
昨日4月7日には、ついに7地域で非常事態宣言が出されました。
3月来、すでに研究・教育活動が大きく制限されていたと思いますが、これによって益々厳しい状況になることが予想されます。研究の遅れや学生の教育等で、大きな焦りやストレスを抱えていらっしゃる方も多いと思います。しかし、先ずは自身と自身の親しい方々の安全を優先することが重要かと思います。
感染拡大が進んでいる地域もそうで無い地域の皆様も、自身はもちろん、関係者への感染拡大に十分にご留意くださいますよう、強くお願い申し上げます。既に何度も様々な媒体から発せられていますが、手洗い、うがい、咳エチケット、3密(密閉、密集、密接)の回避等々に改めてご留意されることを、改めてお願い致します。
 
また、会員の皆様方の中には、最前線で治療や感染拡大防止に奔走している方も多くいらっしゃるかと思います。本当に苛酷なミッションで、すでに心身ともに疲れ果て、また今までに無い恐怖や無力感に苛まれている方も多いと思います。改めて感謝と敬意を表するとともに、くれぐれもお体にご留意くださいますようお願い申し上げます。
さらに、大学・研究所等で普段とは全く異なる対応を迫られたり、講義・実習等学生の教育対応に追われている方、実験が出来ない方、論文が書けない方、留学にストップがかかっている方等々、本当に大きなストレスと不安を抱えていると思います。しかし、繰り返しになりますが、先ずは安全を第一に考えて頂きたいと思います。
本日4月8日は、遠くから会員の皆様にエールを送ることしか出来ませんが、日本神経化学会として、直接・間接的を問わず何が出来るのかを考えて参りたいと思います。先ずは、本年度の大会を始め、様々なイベント、さらに関連学会のイベント等、特に〆切りなどに柔軟に対応できるよう準備を整えたいと思っております。ご要望等がありましたら、遠慮無くお寄せください。
 
皆様と関係者の安全と、一日も早い新型コロナウイルスの収束を心からお祈り申し上げます。
 
令和2年4月8日
理事長
小泉修一

理事長だより No.8

2019年12月25日 08時00分

日本神経化学会
会員 各位

2019年も残り少なくなりました。
本年は、平成と令和2つの元号を跨ぎましたので、何かとても色んなことがあり、慌ただしかったような気がしております。
会員の皆様方は、お忙しくも充実した毎日を送っていることと思います。年末にあたり、現在の日本神経化学会の活動報告の状況をお伝えいたします。

1 法人化

総会でお約束しましたように、一般社団法人としての法人格を取得するための活動をしております。一般社団法人は、申請すれば通る、と軽く考えておりましたが、適切に申請する、ためには色々やることがあることが判明いたしました。現在は、専門家の力をお借りして、規則の改定等を行って居ます。出来れば年度内に、遅くとも来年中には法人格を取得したいと思っております。

2 情報の発信・受信の強化

これまで会員の皆様の意見を直接伺う機会がなかなかありませんでした。和田前理事長は、大会期間中に「理事長と話そう」というコーナーにより、積極的に会員の皆様の意見を取り入れておりました。本年は、NEURO2019として大会が開催されましので、そのような機会を設けることが難しかったように思います。
既にお気づきの皆様もいらっしゃるかもしれませんが、出版広報委員の方々のご尽力により、日本神経化学会HPに「目安箱」というボタンが設置されました。目安箱をクリックしてコメントしていただけますと、皆様方の意見が直接私に届きます。江戸時代の本当の目安箱では、大半が役人の不正を告発するチクリの類であったとのことですが、実際の政策に役立ったものも多かったようです。例えば、小石川療養所の設置も目安箱の投書がきっかけであったと聞きます。
日本神経化学会の目安箱でも、建設的なご意見を歓迎しておりますが、苦情、陳情、チクリその他何でも結構であります。何か思うところありましたら、気軽にご意見をお寄せ下さい。皆様のふとした意見やアイデアが、日本神経化学会の活動に大きな影響を与えることになるかもしれません。よろしくお願いします。
尚、基本的には会員の方限定、実名での投稿をお願いしておりますが、匿名及び非会員の方のご意見も事務局で受け付けいたします。どうしても実名が難しい場合は、匿名でご意見をお寄せ下さい。

その他

他にも少しずつ進めておりますが、当初にくらべてペースダウンしております。これを機にまた加速しなければ、と心を新たにしているところであります。先ずは会員の皆様方の本年度のご協力に感謝すると共に、来年令和2年が皆様と本学会にとって素晴らしい年になることを祈念して年末のご挨拶といたします。

令和元年12月24日
理事長
小泉修一

理事長だより 7

2019年10月18日 09時00分

日本神経化学会
会員 各位

週末に上陸した超大型台風19号は、東海、関東、甲信越、東北に至る実に広い範囲で甚大な被害を起こしました。
会員の皆様は勿論、ご家族、ラボメンバー、ご友人等々、お怪我などはございませんでしょうか?研究室等は大丈夫でしょうか?
被害に遭われたすべての皆様に、衷心よりお見舞い申し上げます。
日本神経化学会として支援できることもございます。何か相談や依頼等がありましたら、私又は事務局まで連絡を頂ければと思います。

今回の台風被害について心よりお見舞い申し上げるとともに、取り急ぎご一報させていただきました。

令和元年10月17日
理事長
小泉修一

理事長だより6

2019年8月26日 09時00分

日本神経化学会
会員 各位


連投になってしまいますが、ご容赦ください。

NEURO2019が終了して間もない8月4-8日、国際神経化学会(ISN-ASN2019)がモントリオールで開催されました。猛暑の日本を離れて、涼しく快適な気候の中、世界中の研究者と熱い神経化学を楽しむことができました。今回は日本からの参加者が多く、その数は100名に達する勢いでした。特に若手研究者の参加が多く、日本の神経化学研究者の活躍がとても頼もしく思えました。

今回のモントリオール大会は、本来ならば池中一裕先生がISNプレジデントとして迎える大会でありました。池中先生も本大会を大変楽しみにしていらっしゃいましたので、先生の無念さを思うと言葉になりません。本当に残念です。モントリオール大会では、池中先生のご家族をお迎えして先生を偲ぶ特別セレモニーが開かれました。池中先生の神経化学のご業績、ISN・アジア太平洋神経化学会(APSN)への数多くのご貢献、さらに先生のお人柄、お酒や人生に関するエピソードの数々を、トークや写真で、称え、語り、懐かしみ、偲んだ、大変素晴らしいセレモニーでした(写真)。ここに改めて、池中先生のご功績を称え、感謝の意を表し、心よりご冥福をお祈りしたいと思います。

 

さて次回のISN大会は、2021年8月23日−26日に京都で開催されます(ISN-APSN2021京都大会)。日本での開催は、1973年の第4回大会(会長塚田先生)、1995年の第15回大会(会長栗山先生、事務局長植村先生、プログラム委員長宮本先生)に次いで、26年ぶり3回目となります。今回の日本誘致は、2017年のISNパリ大会のコンペで、味岡先生が素晴らしい京都大会誘致プレゼンテーションを行ってくださったことで実現しました。日本神経化学会前理事長和田先生の大きなサポートもありました。また京都大会が決まった後も、日本神経化学会との共催の件等々多くの難題が出てまいりましたが、こちらは現APSNプレジデント、2021年京都大会LOC Chairの和中先生が本当に力強く、また辛抱強く交渉を続けてくださり、多くは解決に向かっています。このように、日本神経化学会メンバーの献身的な活躍により、久しぶりの日本開催、京都大会が実現します。

これから2021年京都大会のプログラム委員会が組織され、魅力的で刺激的なプログラム・イベントが次々に計画される予定です。ISN-APSNの恒例行事である、「アドバンストスクール」「Young Investigators Colloquium」「Young Members Symposium」等、若い研究者を育成する様々な仕組みも組み込まれると思います。日本神経化学会の独自プログラム、例えば「若手研究者育成セミナー」「若手道場」もどこかに入れ込もうと画策しております。日本神経化学会の底力を見せる大会にしたいと思っております。会員の皆様には、どうぞ今から2021年京都大会のスケジュール8月23日−26日を確保していただき、神経化学の熱い国際交流を楽しんでいただければと思います。

またこの機会にISNへの入会もご検討頂ければと思います。APSN会員になりますと、無料でISN会員になれますし年会費も安価となっています。ISN及びAPSNで、もっともっと日本神経化学会メンバーの存在感を示せると思います。

まだまだ暑さが続いております。会員の皆様方におかれましては、どうぞお体に気をつけて、素晴らしい夏をお過ごし下さい。
 

令和元年8月
理事長
小泉修一

理事長だより No.5

2019年8月22日 09時00分

日本神経化学会
会員 各位

7月25-28日の4日間、新潟でNEURO2019が開催されました。
若手研究者育成セミナーから参加された方は5日間の長丁場でしたが、本当に盛り上がった素晴らしい大会であった思います。
神経化学側の大会長・那波先生をはじめとする関係者の皆さん、参加された皆さん、また寄付等をいただいた関係各位に改めて御礼申し上げます。色々と記載したいことはあるのですが、今回は二点だけコメントします。

一点目は「若手研究者育成セミナー」と「道場」です。若手を本気で育成すること、議論を尽くすことは、本学会が当初から大切にしてきたミッションの1つです。シニアと若手が本気になって深く・熱く議論することを可能とするこれらの取り組みは、今回も大成功であり、また、成熟して新しい局面に入ってきたような印象を受けました。参加してくださった若手の皆さん、若手のエネルギーをうまく引き出してくださった講師の先生方、議論に参加してくださった先生方、寄付や差し入れを沢山してくださった先生方、さらに企画及び、当日の準備等で多くの時間とエネルギーを割いてくださった照沼先生・飯田先生をはじめとした世話人の先生方に深く感謝申し上げます。

若手セミナーでは、若手のショートトーク、さらに若手セミナーのOB・OGのトークが非常に印象的でした。若手にも発信してもらうことが大事な気がします。是非ともこの形を発展させていただければと思います。また若手道場も非常に多くの若手が参加してくださり、熱い発表と、シニアも交えた活発な質疑応答の応酬は、非常に見ごたえがありました。令和の新しい時代になりましたが、少し往年の昭和の日本神経化学会を彷彿させるところがありました。厳しい議論は特に若者には敬遠される傾向にありますが、本当に教育的で生産的な議論は、むしろ歓迎されるように思いました。聴衆も立ち見が出るほどであり、非常に充実したまさに「神経化学道」であったと思います。

二点目は、理事会、各種委員会等で、様々な熱い意見交換がなされ、令和バージョンの日本神経化学会が動き出したことです。例えば、すでに総会で認めていただきましたが、2020年から学生会員及び若手会員の初年度会費が無料になります。財政の健全化を掲げる本学会としては、多少無謀な試みにも思えますが、「日本神経化学会は参加してみてこそ良さがわかる」という側面が強くあると思います。若い学生さんや研究員の皆さんに、先ず参加してもらうことが大事だと思います。初年度の会費が無料となりますので、若い人材を抱える会員の先生方、どうぞ彼ら彼女らが先ず日本神経化学会に参加できるようなご配慮をお願いします。必ず「はまる」若者が出てくると思います。そんな人達が、深く、長く、熱く、神経化学を盛り上げていってくれるものと思っております。
その他にも色々な仕掛けが始まります。それらは、新しい試みである「委員長だより」や「委員会だより」等で、会員の皆様にわかりやすくお伝えしていく予定です。どうぞお楽しみに。


令和元年8月
理事長
小泉修一

理事長だより 4

2019年7月11日 07時00分

日本神経化学会
会員 各位


新潟で開催されますNEURO2019まであと2週間余りとなりました。

先日、最後の実行委員会が新潟で開かれ、私も参加して参りました。今回は日本神経科学学会との合同大会として開催されますが、これは2013年京都大会以来となります。
新潟大・那波先生が大会長、新潟大・武井先生が実行委員長、大阪大・橋本(均)先生がプログラム委員長を務められ、現在、実行委員、プログラム委員、関係者の皆様が大変なご努力をされて最後の準備に奔走されています。素晴らしい大会になると思います。
演題を発表する会員の皆様はもちろん、今回は発表されない皆様も、是非ともNEURO2019に参加していただき、研究も新潟の美食も楽しんで、また会員の皆様との親交を深めていただければと思います。
私事で恐縮ですが、今から16年前の2003年、やはり新潟で開催された第46回日本神経化学会(大会長 辻省次先生)で、最優秀奨励賞を頂きましたので新潟の神経化学会と聞くと今でも大変感慨深いものがあります(大阪大・永井先生と同時受賞)。この受賞が研究にはまる一因にもなりました。現在は、優秀賞及び奨励賞という名称に変更になりましたが、これら若手研究者に対する賞に加え、若手道場の発表賞やポスター賞等、色々な仕掛けがございます。新潟で神経化学に魅せられ、はまる若者が沢山増えることを期待しています。

NEURO2019についてもう少しお話いたします。すっかり日本神経化学会の恒例行事になった「若手研究者育成セミナー」、またやはり日本神経化学会の象徴的な行事になりつつある「若手道場」が開催されます。シニア、中堅の先生方が、若い研究者に本気でぶつかって、深く議論することで、若手研究者の皆さんに神経化学の面白さを肌で感じて頂こうとする試みです。人との距離が近くなりますので、ひるむ場面も出てくるかもしれません。
ただ、それを通り越すと本当の「楽しさ」が実感できると思います。癖になると思います。
若手研究者の皆さんも、中堅、シニアの研究者の皆さんも、どうぞ心から楽しんでいただければと思います。その他にも、他分野交流セミナー、ISN/JSNシンポジウム、優秀賞受賞講演、若手育成セミナー出身者によるシンポジウム等、独自の取り組みが沢山ありますが、日本神経科学学会との合同大会ですので、非常に多くの講演(プレナリーレクチャー4題、特別講演4題、教育講演17題、シンポジウム60題強)、ポスター発表が準備されています。合同大会の利点を十分に享受しながら、楽しんでいただければと思います。

研究室で論文を読めば研究内容は分かるのですが、実際に話を聞くと新しい発見が沢山出てきます。また、普段はあまり読まない分野の発表に触れることで、色んな気づきがあります。なによりも、実際に顔をつきあわせて徹底的に交流すること・議論することは、研究活動の基本ですので、日本神経化学会はこの「深い議論」をとても大事にする伝統があります。どうぞ新潟の地で、大いに語り、交わり、研究も人との繋がりも深めて頂ければと思います。

令和元年7月
理事長 
小泉 修一

理事長だより 3

2019年6月26日 08時02分

平成から令和への歴史的なバトンタッチも無事に終わり、あっという間に令和元年も一ヶ月が過ぎてしまいました。少しは令和の響きにも慣れてきたように思います。10連休は、研究者にとってはうれしいような迷惑なような時間でもありました。ともあれ、名実ともに令和の時代が始まりました。日本神経化学会も令和バージョンとして活動を行っていきたいと思っております。

今回は、新しくできた委員会、新設理事、さらに副委員長制度についてその意図を簡単に説明いたします。
1.若手育成委員会委員長(照沼美穂委員長)
日本神経化学会は、若手の育成を大きな目標に掲げ、非常に緻密で教育的なプログラム、「日本神経化学会若手育成セミナー(若手セミナー)」を開催しております。発足からすでに10年以上が経過し、本年は第12回の開催になります。当初は、各大会長マターとして、開催されておりましたが、数年前から学会の正式な行事として認められ、日本神経化学会の最も大切な活動の一つとなっております。これまで本セミナーのお世話は、将来計画委員会が行って参りました。しかし、若手育成セミナーの内容も少しずつ大きくまた複雑になり、将来計画委員会の時間とエネルギーの多くが、若手育成セミナーの準備・運営に占められるようになってまいりました。将来計画委員会の仕事は多義にわたり、また仕事量も非常に多くなってきております。そこで、若手セミナーのお世話を行う委員会を「若手育成委員会」として独立させました。委員長は新潟大学の照沼美穂先生にお願いしました。若手セミナーのノウハウの開催、ノウハウの継承、さらに今後の若手セミナーにの在り方についても議論していただきます。また、「若手道場」等のその他の若手育成に関係するイベントにもご協力頂きます。相当大変な委員会ですが、若手育成は、日本神経化学会の柱となるミッションです。どうぞ、会員の皆様も、本委員会の活動にご協力いただき、またご支援いただきますようお願い申し上げます。これにより、将来計画委員会の活動が、より深く・活発になることが期待されます。

2.ブランディング担当理事(尾藤晴彦副理事長)
前理事長 和田圭司先生が新たにブランディング委員会を作られました。学会のブランド力向上は非常に重要な課題と考えます。今期は、ブランディング委員会の機動力を少し高めた形で「ブランディング担当理事」を置くことにしました。各種委員会からの案件・要望を、学会としてうまく吸収し、実行・解決する司令塔を務めていただきます。また、理事会から各委員会へのお願いごとなどの際に、交通整理もしていただきます。ブランディング担当理事に集約することで、機動力が格段に高まることが期待できます。各委員長、委員の先生方は、どうぞブランディング担当理事尾藤先生に気軽にコンタクトしていただき、学会のブランド力向上を目指す活動を活発化していただければと思います。

また、和田前委員長が新たに作られた委員会、他分野連合委員会(木山博資先生)、臨床連携委員会(望月秀樹先生)、倫理委員会(竹居光太郎先生)は今期も継続いたします。

3. 副委員長制度
すべての委員会が非常に重要な役割を担っていますが、委員会によっては、仕事量が極端に多くなっています。また今期、多くの仕事をお願いする予定の委員会もございます。そこで、一部委員会では、副委員長制度を新たに作りました。委員長とタックを組んで、委員会活動を強力に推進していただきたいと思っております。副委員長は単なるサポート役というわけではなくて、委員長と同様に大きな役割を担っていただく予定であります。どうぞ、委員長・副委員長間の連携を上手にとって、効果的・効率的な委員会運営を行っていただきたく存じます。

令和元年6月

理事長だより2 新年度のスタート

2019年6月26日 08時01分

 新しい年度を迎え、日本神経化学会の皆様もいつもとは少し違った気持ちで日々をお過ごしのことと思います。新しい元号が「令和」に決まりました。平成も残り1カ月を切り、今更ですが慌てて平成を振り返る作業をしてみました。
 私が日本神経化学会に入会したのは昭和62年の第30回大会でした。塚田先生が大会長を務められた年で、偶然先生と乗り合わせたエレベーターで声をかけていただいたことを、今でも鮮明に覚えております。その後直ぐに元号は平成に替わり、平成元年に私は大学院博士課程に進学しました。平成の年数分だけ研究生活を送ってきたことになります。その間、本学会にはずっとお世話になり、鍛えられ、育てて頂き、今日までなんとか研究者としてなんとかやってこられました。平成が令和に変わるこのタイミングで、日本神経化学の舵取りをすることになり、非常に名誉に思うと共に大きな責任を感じております。少しでもご恩返しができるように、強い覚悟をもって舵取りを務めたいと思います。ただし、今はセンチメンタルな気持ちはあまり無くて、新しい時代への期待ばかりです。
 さて、新しい理事、委員長、委員が決まり、日本神経化学会も新しい陣容でスタートを切ることになりました。伝統の継承も、大胆な改革も出来る、素晴らしいメンバーだと思います。会委員の皆様には、大いに期待して頂き、またどんどんご要望をお寄せ頂ければと思います。今期の理事、委員長、委員、監事のお名前、さらに理事と委員長のあいさつ文が学会のHPに掲載されております。是非ともご覧いただき、皆さんの顔と意気込みをインプットしていただければと思います。

平成31年4月

理事長だより 1

2019年6月26日 08時00分

 和田前理事長に倣って、理事長だよりとして現在の学会のこと、これからの学会のこと等を皆さんにお伝えしようと思います。
 3月の理事会の後に、偶々小ぢんまりとした歴史情緒あふれる街をいくつか訪れる機会がありました。その中でスウェーデンのUppsalaの(ウプサラ)の話を少しだけ述べます。学会参加記を書くわけではなくて、何となく日本神経化学会に重なって見えたことを、最初の理事長だよりとしてお伝えしたいと思います。
 ロンドン等の一部の都市を除くと、欧州にはあまり大きな街は無く、その国の政治や経済の中心として機能している街でも、意外と小さくてびっくりすることがよくあります。小さくても魅力や迫力は十分で、小さいからこそ色々なものが凝集されていて、かえって輝いているようにも見えます。ウプサラは北欧最古の大学であるウプサラ大学を有する有名な大学街です。しかし、サイズはとても小さく、一日あれば散策できてしまうくらいでした。3月初旬とはいえ、雪が舞い、気温はマイナス10度以下。行動範囲が限られたのでなおさら町が狭く感じました。古い大学、大聖堂、ウプサラ城、それだけですが(本当はもっといろいろあると思います)、自信たっぷりにその存在を強く主張しているように思えました。古ければよいというものではありませんが、良いものはきちんと維持し、次の世代に受け継いでいく姿勢は、当たり前のことですが、素晴らしいと思いました。一方でウプサラでは、完全キャッシュレス化徹底しており、普段の生活で現金を使うことはほぼ無いとのことでした(スウェーデンの国策とのことですが)。実際、滞在中に現金(スウェーデン・クローナ)を見ることは一度もありませんでした。現金が使えない店が圧倒的ですし、電車等切符の自販機にはもはやお札やコインの挿入口さえありません。ソフト面でもハード面でもキャッシュレス化が見事に出来上がっていました。歴史や伝統は大事にしているのですが、やたらと革新的。ウプサラの街を、日本神経化学会の将来に重ねてみて、なんとなく本学会の進むべき方向性が見えてきたように思いました。これからの日本神経化学会を考えたときに、どのように変化・進化しようか、との思いが先走ったのですが、大切な伝統をきちんと継承すること、が先ずは大切であるとの思いを再認識しました。伝統の継承と改革、少し大雑把ですがこれを活動方針として、日本神経化学会の活動を進めていきたいと思います。詳細は、今後の理事長だよりにて少しずつ配信いたします。

平成31年3月